戯言3-27 ページ28
「そうだよ、父さんは僕を殺したかったんだ。」
そして僕も彼を殺したかった。
「なんとも理解し難い……!」
五右衛門さんが眉間のシワを深くする。
「でも結局は射殺されたんだろ?てことは、それで良かった……って言っていいのか?」
髭を擦りながら次元はそう聞いてきた。
「さぁね。そんなこと、僕にはどうだっていい。」
もう過去のことだから。
「その割には、貰ったナイフは大事にしてるんだな。」
「……」
何も答えない僕に対し、ルパンさんは少し間を置いてから話し始めた。
「まだまだあるぞ。死別した後、小学校で同級生がジサツ。当時担任の先生を脅迫し、問題を隠蔽させる。その後学級崩壊が起こり授業は成り立たなくなった。最終的に世間から批判が殺到し、対応しきれなくなった学校は廃校へ。」
『君が僕をいじめるのは自分が虐められたくないから。本当は誰からも見向きもされてないのに、可哀想に。惨めで醜い、親にも愛されないいらない子。そんな努力しても無駄だよ。要らない子、ここから飛べば、幸せになれるのに。』
『僕へのいじめを見て見ぬふりした結果、生徒がジサツしちゃったね。いじめっ子だから死んで当然?面白いことを言いますね、先生。あなたもいじめっ子ですよ。』
『どうするんですか?先生。僕は弱いいじめられっ子だから、ジサツに関与できるわけないじゃないですか。追い込んだのは誰?何もしないのも、立派な後押しですよ。』
頭の中で当時の記憶が流れる。
「中学では、「もう良いよ」……」
「そんな昔の話、関係ない。」
そんなに掘り起こされたって、何も面白くない。
「こうして見れば大人しい高校生にしか見えないのに、中身はとんだモンスターだ。」
次元の言葉に反論は無い。
「Aはモンスターなんかじゃねぇ」
「いいんだよ、工藤君。事実だ。」
「よくねぇよ!!そもそも、いじめをしたのも、それを黙認した方が悪いんだろ。たしかにAもジサツ教唆は悪いことだ。二度とすんな。」
正体がバレてしまった今、もう演技は必要ない。素のままで会話をする。
「お友達を庇いたい気持ちは分かるが、その衝動はコントロール出来るのか?」
ぐっ、と黙り込む工藤君。僕の方に再び目を向ける。
「今も身体中はナイフだらけ。こんなに人生をかけて揉め事に巻き込まれてきたんだから、恨まれ率も半端ない。……なぁ俺が言いてーのはな、俺たちと一緒に来ないかってことだ。」
その方が楽になれるんじゃないのか。
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イロハ(プロフ) - セイさん» セイ様へ、長い間お待たせてすみません。ですが覚えてくださった方がいてくれてとても嬉しいです。コメントまでして下さって、もっともっと精進しつつ続けていきたいと思いました。これからもよろしくお願いします*ˊᵕˋ* (1月10日 11時) (レス) @page16 id: 7c23aeb2f0 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - 続編ありがとうございます。更新通知が来て舞いあがっちゃいました。また神代君の戯言が見られて嬉しいです。欠けた心を持つ神代君と彼に振り回される主人公達が大好きです。次の更新も楽しみにお待ちしております。 (1月10日 8時) (レス) id: ec218c72f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2023年12月24日 19時