戯言3-20 ページ21
大きな桜の木の下で王女が泣いていた。
事件のヒントを得るためにコナン君達は彼女の気持ちが落ち着くまで待つみたいだ。
結局、当初の計画は失敗し、コナン君とまたこうやって行動を共にすることになってしまった。あれだけ大掛かりなことまでして何一つ変わっていない。
無意味に誘拐されたなんて専らの嘘だ。まぁその意味っていうのも大層くだらないものだったため、無意味では無いものの無価値に変わりはない。
ルパン三世を漫画に戻すって目的も、工藤君からの家出も全部成し遂げられなかった。
思えばコナンの世界に紛れ込んだ時から誰も欺けないし、中学の同級生への天罰、誘拐事件、父さんへの親孝行、全部失敗に終わっている。突き詰めればこの世に生まれたことすら失敗なのだが。
ここまでの彼の見解で、全てが彼にとって結果的にいい方向に進んでいる。だが、結果など彼にとっては差程重要では無い。
終わりよければすべてよし、は彼にとって有り得ないものだったからだ。
「わぁ!!王女さんどうしてここに?全然気づかなかった〜」
「貴方達がどうしてここにいるのよ!って、あんた一体どこに行ってたのよ!?」
僕を指さして王女が声を上げる。
「人に指をさしちゃ駄目だよ?」
「それを言うならゲーム機は壊しちゃ駄目でしょ。」
すかさず、ゲーム機?とコナン君が繰り返した。これはまずい。
「まぁまぁ、そんな野暮なことは置いといてさ。事件について教えてよ。」
この変わり身の速さに王女は不愉快な思いをするが、話が先に進まないためぐっと飲み込む。
色々と説明が終わり、欠伸を漏らしたAに改めてミラ王女が話しかけた。
「あんたが居なくなって大変だったのよ。」
「?というと?」
話を聞くところAが居なくなったことに激怒した不二子ちゃんがルパンを責め立てたらしい。
自分の弟子にするはずだった彼を夜に襲うし、そのせいで逃げられる羽目になったんだ、とのことだ。
「ちょ、ちょっと襲うってどいうこと!?何があったの!?」
「…あー、ちょっと坊やには早いんじゃない?」
子供が聞くには早すぎる話。そう判断した彼女はしまった、といった面持ちで話を止めた。
「とにかく!無事だったんなら不二子さんに言わないと。」
それだけ言い残して坂をおりていく。
「不二子ぉ??」
残された次元大介がこの事件に不二子ちゃんが関わったことを知ってうんざりした反応を示した。コナン君に至ってはしつこく僕にどういうことか、と説明を求める。
土産話にしようなんて冗談で考えていたが、こんなことでまさか現実になろうとは。
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イロハ(プロフ) - セイさん» セイ様へ、長い間お待たせてすみません。ですが覚えてくださった方がいてくれてとても嬉しいです。コメントまでして下さって、もっともっと精進しつつ続けていきたいと思いました。これからもよろしくお願いします*ˊᵕˋ* (1月10日 11時) (レス) @page16 id: 7c23aeb2f0 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - 続編ありがとうございます。更新通知が来て舞いあがっちゃいました。また神代君の戯言が見られて嬉しいです。欠けた心を持つ神代君と彼に振り回される主人公達が大好きです。次の更新も楽しみにお待ちしております。 (1月10日 8時) (レス) id: ec218c72f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2023年12月24日 19時