戯言3-18 ページ19
「君が恐れているのは、恋人が犯罪者になる事?それとも、僕が
目の前の小さな探偵が目を見開く。瞳孔が左右に小刻みに震えている。動揺。
「ダメだよ、そんなに目を見開いちゃ。いつだって冷静でいないと、簡単に読まれちゃうよ。」
笑顔でいないと。ほら、ね?僕を見て。
工藤君の額から一筋の汗が垂れている。体力を消費した名残かな。でも、さっきキスした時にはもう既に体からの熱は感じられなかった。
笑って、にっこりと。頬を上げて、とっても楽しそうに。何も写さない、動揺も衝撃も感情も…未来さえも全て。
「確かに君の言う通りだ。僕は
そしてそれはこの先もずっと変わらない。だから無駄なんだよ工藤君。君の心配も、君のエゴも全部……無価値だ。
「だから忠告しただろう?僕はやめとけって。」
この恋の物語が一筋縄では行かないことは分かってただろうに。
ずっと僕は工藤君のためを思ってた。工藤君のためを思って君を遠ざけてたのに。
最後までわからず屋の君は変わらなかった。そんな君が好きだよ。周りになんと言われようとも頑固で、人を振り回す……そして僕をも振り回した。そんな君を僕は愛してる。
きっと、僕達は似たもの同士だから惹かれあったのかもしれない。探偵である工藤君と僕…全く正反対の性質を持ち合わせているのに皮肉なものだ。
「さ、与太話は十分だ。僕達はうら若き青年なんだから時間を無駄にしたら勿体ない。」
返事は無い。
後悔しているのかな、僕を好きになったこと。これまで色んな女の子に振られてきたけど、その度に僕は傷ついてきた。
やっぱり僕には所詮、無理な話なのだ。
「早くしないと置いてくよ。」
歩き始めた僕を他所に彼は動かず立ち尽くしたまま。その小さな体には背負うものが多い。いつもなら頼りがいのある彼の背中も、この時は侘しいものに他ならなかった。
「馬鹿だなぁ……」
君も僕も。
人に愛されたい
工藤君に愛されたい
なんて、らしくもなく考えてしまった。とんだ大馬鹿野郎だ。
✮
「遅いぞ!一体何してた!!」
「ご、ごめんなさ〜い。」
酒場と思わしき店の前に立っていた男がコナン君に怒声を浴びせる。チラチラと周りの人がこちらを見ていたが、差程気に止めることも無く通り過ぎて行った。
「それで?そちらさんは誰なんだ?」
僕に気づいた彼はこちらを怪しげに見た。
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イロハ(プロフ) - セイさん» セイ様へ、長い間お待たせてすみません。ですが覚えてくださった方がいてくれてとても嬉しいです。コメントまでして下さって、もっともっと精進しつつ続けていきたいと思いました。これからもよろしくお願いします*ˊᵕˋ* (1月10日 11時) (レス) @page16 id: 7c23aeb2f0 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - 続編ありがとうございます。更新通知が来て舞いあがっちゃいました。また神代君の戯言が見られて嬉しいです。欠けた心を持つ神代君と彼に振り回される主人公達が大好きです。次の更新も楽しみにお待ちしております。 (1月10日 8時) (レス) id: ec218c72f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2023年12月24日 19時