戯言3-17 ページ18
唇が重なり体がカチコチになる。
「んっ!?」
ここは外だぞ!!何考えてるんだ!?
そんな抗議の目を向けてもこいつは笑うだけ。生殺しだ。俺がこんな子供の体だったばっかりに。ずっと我慢して、我慢していたというのにこいつは……。
本当に性格の悪いやつだ。コナンの体に戻ってから執拗に密着してきやがって。俺が必死に離れさせようとしても聞きやしない。それでいて子供扱いもしてくる始末。
……そーか、そんなに欲しいか。だったら近いうちにもう1回目に物見せてやるよ。後悔すんじゃねーぞ?
ふと我に返る。ここに来るまでも…いや、ずっとだ。ずっとAに振り回され続けている。
ついさっきまでの状況を思い出す。今までなんとかAを抑えれてきたが、それはただただ運が良かったからなのかもしれない。
「殺すつもりだったのか?」
俺の言葉に何か言おうとしたAだったが、結局聞くことは出来なかった。
何も変わってない。初めて出会った時からずっと、人の気持ちが分からないのに、人を傷つけないようにする。まともな思考なんて出来ないのに、まともな振りをする。
それが生きるためだったとしても、今のあいつは俺が居なくてももう生きていける筈だ。なのに、今も変わらずちゃんと言葉を選んでる。
そんな彼がやっぱり好きだ。
でも、彼はさぞかし生きづらいだろう。
したくてもできない。できないけどしなくてはならない。常識やルールは人を守るためにあるのに、Aにとっては自分を苦しめる何物でもない。
「どうなんだよ。」
どう足掻いても無理なのかもしれない、と少しだけ弱気になる。好き放題やらかして、周囲を振り回して…俺を振り回して…そんなあいつが憎たらして、どうしようもなく、堪らなく好きなのに、どうにかコントロールしようとしている……俺もあいつも矛盾だらけだ。
「殺さないよ。」
真っ黒だ。グルグル渦をまく暗闇。
Aの瞳は吸い込まれそうなほど狂気的で魅力的だ。彼はそんな簡単に人は殺さない、ということは分かってる。というより、自分にとって不利益があれば人は殺さないのだろう。
リスクが高いことはしない。逆に言うと、リスクが低ければ奴は簡単に手を出す。簡単に手を汚す。
その危うさが心配で堪らないというのに。
「殺す必要が無かった、の間違いじゃねーのか?」
それでも、Aを苦しませてでも引き戻す。たとえ嫌われようとも、絶対に。
好きだから、愛しているから。
しばらく無言だった彼がやっと口を開いた。エゴの塊の様な俺をAはどう思うのだろう。
248人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イロハ(プロフ) - セイさん» セイ様へ、長い間お待たせてすみません。ですが覚えてくださった方がいてくれてとても嬉しいです。コメントまでして下さって、もっともっと精進しつつ続けていきたいと思いました。これからもよろしくお願いします*ˊᵕˋ* (1月10日 11時) (レス) @page16 id: 7c23aeb2f0 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - 続編ありがとうございます。更新通知が来て舞いあがっちゃいました。また神代君の戯言が見られて嬉しいです。欠けた心を持つ神代君と彼に振り回される主人公達が大好きです。次の更新も楽しみにお待ちしております。 (1月10日 8時) (レス) id: ec218c72f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イロハ | 作成日時:2023年12月24日 19時