家出3日目。 ページ5
ついてない。
本当についてない。
あの後、なんとか駅の構内に隠れて一夜をしのいだ私は、朝一で歌を歌いに街へ繰り出した。
しかし、私のお供である肝心のギターは、なんと弦が切れてしまったのだ。
(結構長く使ってたからなあ…)
って、そんな呑気なこと言ってる場合ではない。
このままでは本当に餓死してしまうかもしれない。
まあ正確に言えば餓死というよりは警察かどっかに引き取られて家に送り返されるんだろうけど。
(あんな家…死んでも帰らないし)
死ぬよりも家に帰る方が嫌だった。
でも。
そんな私にも、たったひとつだけ。
すぐにお金を稼ぐ方法がある。
夜になるまで時間を潰し、サラリーマンたちが帰っていく時間を見計らってネオン街をさまよう。
もう多分想像できるよね？
｢ね、ねえ…。君って…｣
見た感じ40手前であろう中年男性に声をかけられた。見るからに冴えない、モテない、惨めな独身男性って感じ。
｢おじさん、遊ぼ？｣
ぎゅっ、と腕に抱きつくと、見てわかるくらいおじさんは狼狽えた。女性経験なんてないんだろうなーって思う。
そのまますぐ近くのホテルに入り、シャワーを浴びる。
お風呂なんて何日ぶり？
この仕事はお金を貰える上にお風呂も入れるから悪くない。
一通り事が終わり、私は外に出る支度をする。もちろん、こんな仕事好きでやってるわけじゃないから一刻も早くこの場から逃げたい。
｢そういえばいくらか決めてなかったね。いくら欲しい？｣
そう言って財布を取り出すおじさん。私は迷うことなく2本指を立てておじさんに見せた。
｢2万か〜。君みたいな美人さんならもっと貰ってもいいと思うよ？｣
その言葉に、私は首を横に振る。
｢桁が違う｣
｢え！？に、20万！？｣
それは流石に…。と戸惑うおじさんを見て、もう一度首を横に振った。
｢2万でも、20万でもない。｣
．
．
．
｢2000円でいい。｣
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りんご - コメント失礼します。最初から最後まで読ませていただきました。主人公に感情移入しすぎて泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございました。今まで読んだ夢小説の中で一番面白かったです！ (2020年5月14日 1時) (
レス) id: 1e5de3b842 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 緑宮瑠理さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、そう言っていただけてとても嬉しいです！！(´∀`) (2020年1月28日 18時) (レス) id: 52f1b5763c (このIDを非表示/違反報告)
緑宮瑠理(プロフ) - 初のコメント失礼します。最後まで読ませていただきました。最高でした。とても素敵な作品に出会えてすっごく幸せです！新作お待ちしております！素晴らしい作品を生み出してくれてありがとうございました！ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 41f8351349 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 黒崎零菜さん» コメントありがとうございます！いつになるかわかりませんが、気長に待ってくださると嬉しいです！ (2020年1月26日 18時) (レス) id: 52f1b5763c (このIDを非表示/違反報告)
黒崎零菜(プロフ) - コメ失礼しますとても面白い作品でした！新作楽しみにしています！ (2020年1月26日 1時) (レス) id: 943180d6d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおい | 作成日時：2020年1月11日 20時
