家出21日目。 ページ31
｢お母さんが壊したギターは学校の借り物だったんで、なんとかなったんだ。｣
まあ、そんな感じ。
一通り話終えると、キヨは今にも泣き出しそうな顔で私を見ていた。
｢…Aは家を出てからどれくらいになるの？｣
｢3年の春だから…1年弱？かな。今頃は受験生のはずだったんだけどね。｣
はは、と乾いた笑いを零す。
と同時に、ふわっとなにかに包まれて視界が暗くなる。
キヨだ。
｢ごめん、何も知らないのに…勝手なことばっかり…｣
｢なんでキヨが謝るのさ｣
私が笑っても、キヨは一切笑うことをせず、より一層抱きしめる力を強くした。
赤子をあやす様に、背中を優しく摩った。
｢…お父さんは今は？｣
｢詳しいことはわからない…けど、噂では外国で亡くなったらしい。｣
｢そっか…。｣
キヨはゆっくりと私を離すと、私の目を見て、手を握って真剣な眼差しでこう話した。
｢Aはさ、さっき、私なんか誰も気にしない。って言ってたけど｣
｢そんなことないよ。｣
ぎゅっ、と握る力が強くなる。
｢少なくとも、俺はAのことどうでもいいなんて思ったことない。｣
｢それはきっと、他のみんなも同じだと思う。会ったばっかのやつらもいるけどさ、Aのことどうでもいいなんて、誰一人として思っちゃいない。｣
｢もう俺たち、他人じゃない。Aは俺の大切な人だよ。｣
｢だからさ｣
そこで一旦話を止めると、キヨはすうっと深呼吸をした。
｢このまま、ここで暮らそう。｣
｢もう抱え込まないでいいんだよ。｣
ここでキヨに甘えられたら。
それでよかったんだと思う。
でも、
｢ごめん、なさい…｣
｢私、キヨとは暮らせない｣
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りんご - コメント失礼します。最初から最後まで読ませていただきました。主人公に感情移入しすぎて泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございました。今まで読んだ夢小説の中で一番面白かったです！ (2020年5月14日 1時) (
レス) id: 1e5de3b842 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 緑宮瑠理さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、そう言っていただけてとても嬉しいです！！(´∀`) (2020年1月28日 18時) (レス) id: 52f1b5763c (このIDを非表示/違反報告)
緑宮瑠理(プロフ) - 初のコメント失礼します。最後まで読ませていただきました。最高でした。とても素敵な作品に出会えてすっごく幸せです！新作お待ちしております！素晴らしい作品を生み出してくれてありがとうございました！ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 41f8351349 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 黒崎零菜さん» コメントありがとうございます！いつになるかわかりませんが、気長に待ってくださると嬉しいです！ (2020年1月26日 18時) (レス) id: 52f1b5763c (このIDを非表示/違反報告)
黒崎零菜(プロフ) - コメ失礼しますとても面白い作品でした！新作楽しみにしています！ (2020年1月26日 1時) (レス) id: 943180d6d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおい | 作成日時：2020年1月11日 20時
