家出2日目。 ページ4
｢あ｣
あの後、ご飯を買おうとコンビニに立ち寄った。私の好きな綾鷹に手を伸ばすと、丁度反対側から別の手が伸びてきて私の手に触れる。
どこかで聞き覚えのある声。正確に言えばさっきも聞いた声。
｢うげっ…｣
本日2度目ましてのガラの悪い男。
先程は気づかなかったが、改めて向かい合うとかなりの高身長だ。若干見下ろされているのが腹立つ。
｢初対面の人にそんな反応、失礼ですよ。｣
ニコリと微笑んで、私は手前にある綾鷹を奪い取った。
｢人のお辞儀を無視するやつに言われたくねーよ。｣
なんだ、こいつ。
赤の他人にこんなムカついたのは久しぶりかもしれない。
これ以上相手にすると面倒だと察し、その言葉すらも無視して私はレジに向かった。
｢2点で352円になります。｣
｢はーい…。…あれ？｣
ない。
ありとあらゆるポケットを探しても、ないのだ。お金が。
どこかで落とした？
そんなはずは無い。だってさっきまでは…。
｢あ…！｣
さっき不自然にぶつかってきた人がいた。きっとその人にスられたのだろう。
あー、もう。全然ついてないじゃん。
｢すみません…やっぱり、｣
｢これも追加で。｣
やっぱりいいです。
そう言おうとした瞬間、後ろから手が伸びてきて、お菓子やら飲み物やらを乱雑にレジに並べた。
振り返るまでもない。あの男。
｢金ねえんだろ？奢ってやるよ。路上ライブさん。｣
｢何勝手に…！｣
私が口答えするまでもなく、会計は終わってしまい男は店を出ていった。渋々後に続くと、袋から私のお茶と、自分のもののはずのパンも一緒に私に放り投げてきた。
｢家出だかなんだか知らねえけど、さっさと家帰れよ。がきんちょ。｣
振り返ることもせずに、手をヒラヒラと振りながら去っていく男。
勝手なこと言わないでよ。帰る家なんてないのに。
けど、
｢クリームパンだ…｣
自分の好きなパンを見て頬が緩んでしまった私は、やっぱりまだ子供なのかもしれない。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
※1日目とか2日目とかっていうのは、話の番号であって本編の時間ではないです。
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りんご - コメント失礼します。最初から最後まで読ませていただきました。主人公に感情移入しすぎて泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございました。今まで読んだ夢小説の中で一番面白かったです！ (2020年5月14日 1時) (
レス) id: 1e5de3b842 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 緑宮瑠理さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、そう言っていただけてとても嬉しいです！！(´∀`) (2020年1月28日 18時) (レス) id: 52f1b5763c (このIDを非表示/違反報告)
緑宮瑠理(プロフ) - 初のコメント失礼します。最後まで読ませていただきました。最高でした。とても素敵な作品に出会えてすっごく幸せです！新作お待ちしております！素晴らしい作品を生み出してくれてありがとうございました！ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 41f8351349 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 黒崎零菜さん» コメントありがとうございます！いつになるかわかりませんが、気長に待ってくださると嬉しいです！ (2020年1月26日 18時) (レス) id: 52f1b5763c (このIDを非表示/違反報告)
黒崎零菜(プロフ) - コメ失礼しますとても面白い作品でした！新作楽しみにしています！ (2020年1月26日 1時) (レス) id: 943180d6d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおい | 作成日時：2020年1月11日 20時
