村上さんの彼女(紫)

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『お掛けになった電話は、電波の届かないところにいるか電源が入っておりません』




無機質な女性の声に、思わずため息をついてしまった




「…って、なにため息ついてるんだか」





村上さんのお仕事のことは私がよく分かってるし、村上さんもそう思ってるからこそ、仕事が長引いたことに対して何も言わないってことも分かってる。





今日は、久しぶりに外でご飯を食べようって約束をしてて。村上さんが好きそうな個室居酒屋のお店も予約して仕事も早めに上がったんだけどなー。





会社の最寄駅で、どうしようか悩んでた時に先ほど別れたはずの新井君がこっちに向かってきてるのが見えた





新「あれ、Aさん。帰ったんじゃなかったの？」





コンビニに寄ってった新井君に追いつかれたみたいで、私に近づいてきてそう言った






「あーー、約束してる相手と連絡つかなくて」





新「彼氏？」





「あー、うん。彼、忙しい人だから」





しょうがない。お店にはキャンセルの予約を入れよう。



そう思い、お店の電話番号を表示させようとした時、




新「じゃあ、俺と一緒に行かない？」

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