「まさかの」茂 ページ4
「もしもし」
ﾋﾟｯ､と出ると、大声で誰かに叫ばれる。
この声…………
「鎌ち！？」
『茂庭!!!!今どこいやがる!!!!早くこっち来い!!!』
「え、ちょっと、こっちって？話が見えないんだけど」
「茂庭、行くぞ!!」
「えっ、ちょっ、夜久君!?」
手を引かれて携帯を落としそうになるのを何とか掴み、歩き出す。
「携帯、そのまま話聞け!!!」
「えっあ、うん」
ﾋﾟﾀ、と再び耳に携帯を着けると、今度は二口の声がした。
『茂庭さん、無事だったんですね。すぐに、夜久さんと体育館に来て下さい』
「今向かってる。でも、お前もまだ残ってたんだ」
『何寝ぼけた事いってんすか、残ってたとかの問題じゃないっすよ』
「え？どー言う…？」
そう聞くと同時に、ズル、と音がする。
「夜久君、待って、誰かいるよ!!」
「あっ!?ほっとけ!!!ってかっ、今この場にいるやつらは信用しちゃいけねぇよ!!!」
どういう、と聞く前に、自分の目を疑った。
俺が見たのは、貞子みたいな下半身のない女の子。
ズルズルと音をたてながら、こっちに向かって来ていた。
「茂庭、段差気を付けろよっ!!」
「うぇ!!??」
いつの間にか、体育館の前まで来ていたらしい。
俺らが入ると同時に、ドアが閉められる。
「セッ、…セーフ………」
「なっ、に、あれっ…!?」
ぜぇぜぇと息をきらしながら、言う。その問いに、黒尾君は、低い声で言った。
「バケモンだよ」
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作者名：華影水城 | 作成日時：2016年4月29日 22時
