傘 ページ6
傘を忘れた。
その事に気づいたのは、帰ろうと会社を出た時だった。
今日はニュースを見忘れた。
思い返すと叶くんが何か言っていた気がする。
夜更かしなんか、するべきじゃなかった。
「やっちゃったなぁ」
漏れた声は雨の音にかき消された。
走ってもいいけど、書類やらパソコンやら色々あるので、濡らして帰るのはちょっと心配だ。
だからといって、叶くんに迎えに来てもらうのも気が引ける。
どうしよ。
とりあえず、連絡でも入れておこう。
トーク画面を開く。
大体上の方にいるから探すのは簡単だ。
「傘忘れたから、遅くなるかも……っと」
送信ボタンを押した途端既読がつく。
え、早。
送られたメッセージには『大丈夫？迎えに行こうか？』と書かれてある。
どうやら今は、配信中じゃないらしい。
甘えようか。
んー、と悩む私のもとにまたメッセージが届く。
『長く降るっぽいし、迎えに行くよ』
こう言われたら断る方が申し訳ない。
じゃぁ、お願いしようかな。
送信ボタンを押し、ポケットに閉まった。
▽
「お待たせ、お疲れ様〜」
「叶くん！わざわざありがとう！ごめんね……」
「いいよ、Aといる時間長くなるし」
そう言って、天使みたいな微笑みを私に向ける。
うっ、今、心臓射抜かれた。
私の彼氏最高だ……！
「いや、可愛いかよ……。あれ、傘1本しか持ってこなかったの？」
私は違和感を覚える。
叶くんの手には、さしていたであろう傘1本しかなかった。
叶くんは、一瞬ぽかんとした顔をする。
「あちゃ、忘れたかもなぁ」
「およ、かなかなはドジっ子ですね〜？」
「まぁ、わざとだけど」
「ドジっ子ってなんだ！！」
まさかの故意的！？
でも、本当に故意的に忘れたのか怪しい。
だってさっきから叶くん息きれてるし。
たぶん、走ってきてくれたんだろうなぁ。
微笑ましく見ていると、叶くんが傘を広げる。
「じゃぁA、相合傘して帰ろ」
「叶くんがしたいだけでしょ」
「そうだよ？」
「ストレートに返すのやめてもらっていい!?ときめくから！」
「なんそれぇ」
2人で肩をくっつけながら雨の道を歩く。
お話に夢中になって、雨の音なんか耳に入らなかった。
あんまり、雨は好きじゃない。
でも、こうやって2人で帰れるならたまには傘を忘れてもいいかも。
なんてね。
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うさごろう(プロフ) - あいいちさん» 遅くなってしまいすみません💦そう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (5月7日 21時) (
レス) id: c523199a4f (このIDを非表示/違反報告)
あいいち(プロフ) - もぉぉぉう！！！心臓きゅんきゅんして最高です！！私の好きな雰囲気どストライクでほんと神です！！ (2022年8月8日 5時) (レス) @page11 id: f1fad0b475 (このIDを非表示/違反報告)
うさごろう(プロフ) - ねこもどきさん» コメントと応援ありがとうございます✨自分も甘々系好きなので喜んでもらえて嬉しいです、更新頑張ります〜！ (2022年5月1日 23時) (レス) id: dbcde430d8 (このIDを非表示/違反報告)
ねこもどき(プロフ) - コメント失礼します！いつも楽しく拝見させてもらってます！私のもうタイプのシチュエーションですごく気に入ってます！これからも更新頑張って下さい応援しております！ (2022年5月1日 20時) (レス) id: 683f46d39a (このIDを非表示/違反報告)
うさごろう(プロフ) - ゆきさん» そんな風に言って貰えて凄く嬉しいです！初めての作品なので不安もあったのですが、ゆき様のお言葉のお陰で少し自信が持てました、ありがとうございます😭😭 (2022年5月1日 17時) (レス) id: dbcde430d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさごろう | 作成日時：2022年4月29日 12時
