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8月26日。
それはあの日から3日後のことだった。
8月下旬、気温は日を重ねる毎に低くなり、蒸し暑さも段々となくなっていっていた。
"夏祭り、良ければ一緒に行かないかい?"
朝方、一通のメッセージが入っていた。
夏油からだ。
てっきり、もう関わってはくれないものかと思っていたので、少し口角が上がった。
夕方頃、Aは、浴衣を身にまとい、神社の前に向かった。
✱
神社の入口で夏油を待つA。しかし待ち合わせの時間は10分、20分、と過ぎていくばかりで夏油が現れる様子は全くなかった。
しばらくして携帯を見ると、"すまない、任務が長引きそうなんだ。花火までには必ず行くから、屋台をまわっててくれ"というメッセージがくる。
"わかった"とだけ返すと、Aはゆっくりと神社の階段を登り、辺りを見渡した。
もう夜だというのに、あらゆるところから光に照らされ、眩しかった。
わたあめやらたこ焼きやら、屋台がずらりと並んでいる。
Aはラムネを1本買うと、人混みから外れた場所に腰を下ろしていた。
✱
"ただいまをもちまして、××祭りを終了とさせていただきます。皆様、ありがとうございました"
結局夏油は来なかった。
あれ以来、メッセージも来ていない。
Aは近くのベンチに腰を下ろすと、夜空を見上げていた。
『ちょっと、期待しちゃったじゃん…』
そう言うAは笑っていた。
けれどその笑顔にいつものような覇気はない。
なぜならその笑顔は、自分の涙を誤魔化すためのものなのだから。
その時だった。
「A…!」
突然呼ばれた自分の名に振り返る。
そこには、夏油が立っていた。
いつも通り、真っ黒な制服に袖を通している。
けれど、彼の息は荒く、髪は乱れていた。
走ってきてくれたのだろうか。
慌てて涙を拭い、夏油に駆け寄る。
『傑くん、任務お疲れ様!花火大会終わっちゃったよ〜残念だったね…!』
「なんで連絡つかなかったんだ…!」
『え、』
そう言われて携帯を見ると、何通ものメッセージと不在着信という文字があった。
『お、音鳴らなくて、気づかなかった…!』
ごめんね、と言うと、次の瞬間、Aは夏油の腕の中にいた。
『わっ…』
「すまなかった…私はただ君に謝りたかったんだ…。それなのに、また君を悲しませてしまった…!」
貴女の彼氏or彼女は??
新田新
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結衣(プロフ) - コメントありがとうございます。とっても元気が出ました!更新頑張りますね!! (3月31日 19時) (レス) id: df2d4255b1 (このIDを非表示/違反報告)
えす - 続きおねがいします!!! (3月31日 18時) (レス) @page30 id: 93a8495db4 (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 神様さん» お返事が遅れてしまいすみません。そう言っていただけて嬉しいです!頑張ります! (2月2日 16時) (レス) id: df2d4255b1 (このIDを非表示/違反報告)
神様 - 面白かったです!更新がんばってください! (1月21日 18時) (レス) @page24 id: 9fd19e5354 (このIDを非表示/違反報告)
神様 - ありがとうございます(≧▽≦)面白かったです! (1月17日 18時) (レス) @page22 id: 9fd19e5354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結衣 | 作成日時:2023年11月28日 19時