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電話を掛けてみるも、もちろん応答は無い。
そのままトイレの方まで走っていく。
が、そこにAの姿はない。
変わりに、微量ではあるが、残穢が残っていた。
まずい。
"見える側だけど、扱えない側"
彼女と初めて会ったときのことを思い出す。
夏油はただ残穢を追って走る。
彼女にもしもの出来事があったらどうする?
硝子に治してもらう?
それ間に合わなかったら___?
考えるな、と言い聞かせ、足を動かすことに集中する。
生憎、トイレ側の通りは、人通りが少ないことに加え、薄暗い。
さらに、近くには確か、廃ビルがいくつかあったはずだ。
もちろん残穢はそちらに向かって続いている。
夏油はようやく残穢の続くビルに到着した。
廃病院だ。
等級はそれなりに高いと思われる。
だが、1級呪術師である夏油ならば、祓えるほどの強さだろう。
まさかこんな呪いを放っていたとは、と少し驚きつつ、中へ進む。
大丈夫、大丈夫なはずだ。
そう思いながら、1歩ずつ足を進める。
だが、虚しくも、そんな夏油の考えは消え去った。
床に血痕があった。
それも新しい。
つまり、Aの___。
なんとか平常心を保ち、速足で進む。
そして、続く血痕と、辿っていくと建物の最奥にある手術室へと辿り着いた。
バン、力強くドアを開けると、手術台に寝かされているAと、カチャリカチャリと、金属音を立てて、呪力の籠った手術器具を手に取っている呪霊。
そのさらに後ろには、何人もの一般人が、解剖され、無惨な姿で積み上げられている。
『…す、ぐ…るく……』
「な"に"ィィィィ!!し、し、し、て、るるる、の"ぉぉ」
気色の悪い声が響き、怒り狂う呪霊。
カタコトではあるが、話せることからそれなりに等級の高い呪霊だ。
しかもここは廃病院。
強力な呪いがいても、なにも不自然では無い。
だが、怒っていたのは、呪霊だけでは無い。
夏油もだ。
目の前には、既に1本、メスがAの腹に刺されていた。
それを見た夏油はもう我慢ができなかった。
次の瞬間夏油は大量の巨大なメスに囲まれる。
『にげ、て……!!』
だが、夏油は1級呪術師。
そんな簡単な攻撃は、彼には通用しない。
貴女の彼氏or彼女は??
新田新
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結衣(プロフ) - コメントありがとうございます。とっても元気が出ました!更新頑張りますね!! (3月31日 19時) (レス) id: df2d4255b1 (このIDを非表示/違反報告)
えす - 続きおねがいします!!! (3月31日 18時) (レス) @page30 id: 93a8495db4 (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 神様さん» お返事が遅れてしまいすみません。そう言っていただけて嬉しいです!頑張ります! (2月2日 16時) (レス) id: df2d4255b1 (このIDを非表示/違反報告)
神様 - 面白かったです!更新がんばってください! (1月21日 18時) (レス) @page24 id: 9fd19e5354 (このIDを非表示/違反報告)
神様 - ありがとうございます(≧▽≦)面白かったです! (1月17日 18時) (レス) @page22 id: 9fd19e5354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結衣 | 作成日時:2023年11月28日 19時