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沈黙が続く。




そんな中で、ぽつりぽつりと、Aが話し始める。





『あの子たちが言ってたこと、事実だし…』




事実ならば何を言ってもいいのか。




『それにみんな、やりたくてあんなことしてないよ』




なぜそんなふうに思える。




『どうしようもない怒りがみんなの中にあって、それを私にぶつけてるだけなんだと思うの』




どうして君がその怒りを受け取らなくてはならないんだ。





『困ってる人とか苦しい人がいるとき、助けてあげるのが友達の役目でしょ?』




じゃあ君の苦しさは一体誰が受け取ってくれるんだい。








"隣の人、彼氏?"




"マジでお前ちょっと顔がいいからって調子乗んな"




"お兄さんさ、こんなやつのどこがいいの?"






誰がどう見ても、先程の女子校生3人組が彼女に向ける感情は、彼女に対する嫉妬からくる憎悪だった。



学校では、優等生だったのだろうか。



その上顔も良いとなれば、相当モテたはずだ。





なんでもそつなくこなす人間だったならば、嫉妬の対象になっても何らおかしくない。



そこから自分たちの考えに賛同する者を集め、行動にうつす。


バレないように、裏で、でも、確実に精神的に追い込むよう、持ち前の頭を使って考える。




そうして最悪の状況が完成したのだろう。





自分の中でぐるぐると回る思考。


そんな夏油を、Aは下から覗き込んだ。





『正直、ちょっぴりつらいときはあったよ』


「少しじゃないだろう…」




現に学校に行くことを拒否してるじゃないか、と言うと、Aは困ったように笑った。





『でもね、今は傑くんに悟くんに硝子ちゃんたちがいるから楽しいよ』





それでも表情が曇ったままの夏油。


Aはそんな夏油の頬に手を添えた。





『傑くんは優しいんだね、さっきも私のことを助けてくれてありがとう』


「いや…」


『でもね、その優しさは、いつかこの世の不平等に踏みにじられて、君を苦しめ、狂わせるかもしれない…。だからそんなときは、私を頼って、ね?』




なぜだか急に自分よりも大人な人の言葉のように感じる。


いつもの幼稚な態度とは変わって、ただ遠く先をを見据えるような、綺麗な目をしていた。





『さ、もう時間ないし、映画行こっか!』





かと思えばまたいつもの子供っぽい言動。


本当に不思議で、戸惑ってしまう。






だが夏油はそんな彼女に、少しずつ、確実に、惹かれている。

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貴女の彼氏or彼女は??

新田新


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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , (五条悟)   
作品ジャンル:恋愛
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結衣(プロフ) - コメントありがとうございます。とっても元気が出ました!更新頑張りますね!! (3月31日 19時) (レス) id: df2d4255b1 (このIDを非表示/違反報告)
えす - 続きおねがいします!!! (3月31日 18時) (レス) @page30 id: 93a8495db4 (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 神様さん» お返事が遅れてしまいすみません。そう言っていただけて嬉しいです!頑張ります! (2月2日 16時) (レス) id: df2d4255b1 (このIDを非表示/違反報告)
神様 - 面白かったです!更新がんばってください! (1月21日 18時) (レス) @page24 id: 9fd19e5354 (このIDを非表示/違反報告)
神様 - ありがとうございます(≧▽≦)面白かったです! (1月17日 18時) (レス) @page22 id: 9fd19e5354 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結衣 | 作成日時:2023年11月28日 19時

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