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橙side
カランカラン
「咲さ〜ん。向井です。」
冨岡「向井くん。来てくれてありがとね。」
「いえ。あの、、何かあったんですか、、？」
冨岡「うん、、、。話があってね。」
話、、、？
冨岡「Aから家族の話聞いたことある、、、？」
家族の話、、、？
いや、、したことなかったな、、。
「聞いたことないです。Aちゃんの家族がどうかしたんですか、、？」
冨岡「実はね、、、、、。」
そこで俺は衝撃の事実を聞いた。
Aちゃんが一度親に捨てられたこと。
母親が迎えに来てくれたけど、その後暴力を受けたこと。
母親に売られそうになったこと。
冨岡「こんなことがあったから、Aは恋なんてしないって言ってたの。恋だけじゃない、人を信じることも、、、。多分、どうせ人を信じても裏切られる、そしたら傷つくのは自分だって思ってたんじゃないかな、、、。」
「そんな、、、。」
冨岡「でもね、あの子変わったの。向井くんに出会って。」
俺に出会って、、？
「え、、、？」
冨岡「向井くんと一緒の仕事だといつもより嬉しそうだったし、連絡が来ると携帯見つめて微笑んでた。この店に来たばかりの頃は全然笑わなくてしょっちゅう注意してたのに、最近はよく笑うようになった。全部向井くんのおかげだと思う。ありがとう。」
「そんな、、、。俺は何も、、。」
冨岡「これだけ辛い思いをしてるからAには幸せになってほしいって思ってるの。」
そう話す咲さんは優しい顔をしてた。
ほんまにAちゃんのことが大切なんやな、、、。
「あの、、Aちゃんは、、、？」
咲さんは少しうつむいて話した。
冨岡「今は眠ってる。同僚の子がそばにいてくれてるから大丈夫だと思う、、。」
「眠ってるって、何かあったんですか？」
冨岡「さっきね、Aの母親が店に来たの。週刊誌を見てAがこの店にいるって突き止めたみたい。お金を渡さなければ向井くんの彼女の母親が犯罪者だってリークするって、、。」
「そんな、、、。」
冨岡「A、とても怖かったはずなのにちゃんと母親と向き合ってた。その後母親は警察に連れてかれて、Aはホッとして意識失ったみたい、、。」
そんなん、、、俺のせいやん、、、。
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作者名：ゆいゆい | 作成日時：2020年6月22日 13時
