全ての始まりにあなたと ページ23
あなたside
＿＿＿＿あれから、幾つの月日が経ったんだろう。
無口で時々愛想がないけど、誰よりも優しくて暖かくて、私のことを理解してくれるマサイくんが、
いつしか私の歩む道に加わって、
そっと手を握り返してくれるようになったね。
その言動、匂い、声、仕草、全部が好きで。
そんなあなたに、
＿＿＿＿「…私、妊娠したよ」
そう伝えるのは凄く緊張することであり、嬉しくて仕方ないことだった。
．
．
＿＿＿＿あれは結婚してから2年目の夏。
シルクくんの家に集まって、Fischer'sの登録者数が300万人を突破し大喜びしていた頃のこと。
「…なんか、ちょっと気持ち悪い」
あの時、私のこの一言で、みんなに迷惑をかけちゃった。
マサイ「ん？大丈夫？」
「トイレ行くね」
シルク「無理すんなよ」
「うん。ごめん」
…きっと つわり だろうな。
シルクくんの家で吐き気がしてトイレに駆け込んだ時、女の勘でピンと分かった。
普通の吐き気とは違う、少し独特な身体の重さ。
この時、普通に具合が悪いのかと思って本気で心配してくれていたらしいマサイくん。
未だに、「あの時気づけなくてごめん」って謝ってくれる。
そんな優しいマサイくんは、私が検査を受けに行くと言い出すまで、妊娠を信じてはいなかった。
2人で家に帰って、それでも尚具合の悪そうな私を見て、
マサイ「…え、本当に妊娠？」
なんて、慌ててた気がする。
今思い出しても可愛いなあって。
「うん。そうだと思う。やっぱり明日検査行くね」
マサイ「あーそれって、女の人一人じゃなきゃダメなやつ？」
「ううん。そんなことないと思う」
マサイ「…じゃあ、俺もいっていい？」
「いいよ」
マサイ「ちょっと緊張する笑」
「ね笑」
そう遠慮がちに同行してくれたマサイくんは、結局当日は、私の口から報告が聞きたいと行って、検査室まで入って来なかった。
そして、お医者さんから「妊娠3ヶ月です。おめでとうございます」と受け取った、赤い線の入ったテープ。
…私、マサイくんとパパとママになるんだ。
そう思ったらもう嬉しくて泣きそうだった私は、それを片手に、待合室で真剣な面持ちで待つマサイくんの元に駆け寄った。
「…どう？」
私の手を取って隣に座らせ、少し上目遣いに尋ねてきたマサイくん。
そんな、可愛くて、かっこよくて、大好きな彼の手を握って、出会った頃のままのようなドキドキした気持ちで、
＿＿＿＿「…私、妊娠したよ」
そう伝えたのだ。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←作者よりただいまとさようなら
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りら - とても素敵なお話ばかりですが、誤字が多いですね。 (2021年6月4日 21時) (
レス) id: c8c3f0d94f (このIDを非表示/違反報告)
ness(プロフ) - お久しぶりです。grayさんにそんなに辛いことがあったとは、、、。体調は大丈夫ですか？無理をなさらないように。grayさんの書くお話がまた読めることに私自身、すごく歓喜しています。戻ってきて下さり本当にありがとうございます。大好きです。頑張ってください。 (2019年4月3日 17時) (レス) id: 302e75f0db (このIDを非表示/違反報告)
かっちゃん(プロフ) - お体に無理せずに書いて下さいね！ (2019年4月2日 21時) (レス) id: c0d11f604d (このIDを非表示/違反報告)
もい(プロフ) - お久しぶりです。とても大変な思いをされていたのですね。そんな中、こうして続きを書いてくださること、なんて律儀な方なのだろうと感動しています。ありがとうございます。どうかお身体には気をつけて、無理なさらないでくださいね。gray22さんの作品が大好きです。 (2019年4月2日 15時) (レス) id: 865a9089c2 (このIDを非表示/違反報告)
おさかなマン(プロフ) - この作品のマサイさんがかっこいいのが本当に忘れられなくて、2回目読んでしまいました。かっこよすぎですこれ。大好きですこれ。 (2018年12月15日 23時) (レス) id: 3258402eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：gray22
| 作成日時：2017年2月27日 20時
