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第43話 ページ45

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はっ、はっ、はっ




自分の息切れの音。何故自分は走っているのだろう




暗い道を鴉の案内だけを頼りに駆け抜けている




あいつに俺の実力を見せつけ、先生にも認めてもらえるよう勇気を振り絞って鬼と対峙していたはずだ



先程までの威勢はどこに行ったのか、今では大嫌いなあいつの服を着て自分が助かるためだけに逃げている




いや、良いんだ。いつだってそう(・・)してきたじゃないか



泥水を啜ろうと、地面に頭を擦りつけ相手に媚び諂おうとも


自分が生きていれば負けていない、それをひたすらに信じて




これは恥ではない





...本当に、そうだろうか




手負いと言えども腐っても柱、その辺の鬼など群がって来たとしても全て滅殺する程の実力は持っている



あの寺の奴らのように全員鬼の餌食になどならず、あの家に何事もなく帰ってくるだろう



そうなれば残るのは、俺が鬼を殺せずのこのこ逃げてきたという事実



これは紛れも無い事実になり、最終的には恥となる



ならば




「!!カア!!マテ、ドコヘ行ク!!」




急に方向転換し、来た道を戻る獪岳に鴉は叫んだ



獪岳はうるせえ、と一言返して振り返らず走る



獪岳の考えはこうだ。まず来た道を戻りながら先程の傷口にできた瘡蓋を引っ掻き血を流す。そして血の匂いで鬼を釣り、羌と接触した後、鬼に羌を殺させる



そういう手筈だった(・・・)





____だった筈だ




何故こいつは、俺の前に立つ?



何故生きている?




「大丈夫か?...ゲホッ、獪岳」




何故俺に笑いかけるんだ?




悔しくて、妬ましくて、憎くて、大嫌いな筈なのに、ニコリと笑ったそいつの笑顔に自分の心臓は昨夜の様に爆音で鳴っていた

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戦力外(プロフ) - 甘音 舞影さん» ご指摘ありがとうございます! (2020年2月28日 14時) (レス) id: dcb72e1adc (このIDを非表示/違反報告)
甘音 舞影(プロフ) - プロローグの金臭い血の匂いは鉄ではないですか?いきなりすみません (2020年2月27日 22時) (レス) id: 299a382383 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:戦力外 | 作成日時:2019年8月13日 0時

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