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第40話 ページ42

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日が沈み、暗くなってきた為か遠くがやはり見えにくい



加えてここは周りの木々が密集し、葉で影を作って本来よりも暗くなっているので鬼との遭遇率はかなり高い



「ア゙ア゙....モ....テ...クエ」



前方から声がして、思わず足が止まった。何かいる、それだけは分かるのにいかせん暗さにまだ目が慣れておらず、若干遠くが見えない



剣に手をかけゆっくりと近づいて行く。すると見慣れた背中が見えた



「!!獪岳!」

「...!!」



その見慣れた人物の背中に声をかけると案の定獪岳だった



鬼を撒いたのか周りに鬼は見当たらず、道の真ん中に獪岳がぽつんと立っている



当の本人は相当驚いた顔でこちらを見たが、羌だとわかると刀を納め、帯に差してあった刀を投げて寄越してきた



パシッと刀を受け取るが何故刀を渡してきたのか全く意図が読めない。獪岳が何も言わない分余計分からない



しかしずっとこちらを見てくるのでやはり刀に何かあるのかと思い、自分の手にある物に目を向ける



(それにしても...軽い(・・)なこの刀)



その刀は脇差にしては軽すぎる程の重さで、鬼と遭遇してよくこれで生き延びたものだと思いながら刀を抜いた



「っ!!こ、これ...まさかお前!!

いやっ、怪我は?!怪我はないかっ!?」



滅多に取り乱さない羌がこのほぼ根元まで折れた刀(・・・・・・・・)を見て焦り、酷い足取りで獪岳に詰め寄りその肩を強く掴んだ



「っ、触るんじゃねえよ!!」

「っ!!...すまない、しかし怪我はないか?」

「ハッ、んなのこれに比べりゃどうだっていいんだよ」



心配する羌を他所に獪岳は後ろを親指で指し、これを見ろと言う



獪岳に近付きその後ろを見やると、先程まで暗かった道に木々の枝の間から月明かりが差し込み獪岳の後ろで刀で滅多刺しにされた鬼が見えた



「ギ...ダ...ケテ....デ.....」



微かだがまだ生きてはいるらしい鬼だが、腹に風穴が空いていて回復が追いついていないらしく、頭が潰れ口だけ残っている状態でまだ何かを言っている



鬼に成り立てだったのだろう回復速度が通常より遅い




「どうだ?俺はもう1人前だ!!これでお前なんかの修行は受けずに俺一人でやる」


「...何を言っている」



自分でないと思うほど低く、冷たい声が出た

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戦力外(プロフ) - 甘音 舞影さん» ご指摘ありがとうございます! (2020年2月28日 14時) (レス) id: dcb72e1adc (このIDを非表示/違反報告)
甘音 舞影(プロフ) - プロローグの金臭い血の匂いは鉄ではないですか?いきなりすみません (2020年2月27日 22時) (レス) id: 299a382383 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:戦力外 | 作成日時:2019年8月13日 0時

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