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第37話 ページ39

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半時前、日がもう暮れ始めていた頃



羌の鴉はその時間帯になると直ぐに獪岳まで飛んで行き、その頭上で叫ぶ



「カアカア!!モウ直グ日ガ暮レル!!

荷物ヲ持ッテ帰宅セヨ!!カア〜」

「!!」



鴉の声に驚き空を見れば日が傾き始めていた。自分でもまさかこんな時間まで集中していたとはと驚きつつ帰路へと走り出す




「おい、鴉。どうせ俺についていたんだろう?

俺はどれくらいここから動いていない?」


「ココニ来テカラズットダ!」



結構な時間全集中の呼吸を続けられるようになってきた嬉しさでにやけるのを必死に抑えながら走る




「おいおい、美味そうな餓鬼がいるじゃなァい?」




通り過ぎた草むらの影からそんな声がして、思わず足が止まった



今のは聞き違いってあって欲しかったが、はっきりと聞こえてしまった



その言葉が俺に向かって言ったものだと理解した瞬間、最悪の想像をしてしまった




「ケケッ...怖くて足が止まったか?そのまま逃げていればよかったのに」




鬼と思われる何かが後ろから近付いてくる恐怖に冷や汗が止まらない



何故、今鬼が出てくるのだ。今はまだ日は落ちていないはずだ、それなのに何故...



ふと、地面を見やればそこに自分の影がなく、あるのは陽の光を木々で遮った広範囲の日陰がそこにあった



(しまった!!日陰か!!)



気付いた時にはもう遅く、太陽はもう半時もせず完全に沈みきる辺りまできていた




どうする、どうしよう、どうしたら




そんな言葉が頭に谺響する。頭の中が真っ白になりそうなのを必死で押えて、止まっていた息を吸って吐くを繰り返す




鬼を滅殺する為の隊に入ろうと日々修行してきた結果がこの有様かと自分を鼻で笑いたくなる



足は地面に根が生えたように動かないし、手は指先まで震えている



とてもじゃないが刀を持つことは勿論、いつも通り振ることも出来ないであろう




ドクドクと心の臓が嫌な拍をとっていて、言う事を聞かない自身の身体に舌打ちをしたい。しかしそれは今すべき事ではない




呼吸を整える。そして冷静になろう




刀は護身用に持ってきた脇差一本。まず日輪刀じゃない時点で鬼は殺せないだろうがなんとか足止めはできよう



勇気をこれでもかと振り絞って後ろを振り返る。そして鬼を視界に入れることで奴の動きを目で終えればこちらのものだ

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戦力外(プロフ) - 甘音 舞影さん» ご指摘ありがとうございます! (2020年2月28日 14時) (レス) id: dcb72e1adc (このIDを非表示/違反報告)
甘音 舞影(プロフ) - プロローグの金臭い血の匂いは鉄ではないですか?いきなりすみません (2020年2月27日 22時) (レス) id: 299a382383 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:戦力外 | 作成日時:2019年8月13日 0時

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