【鬼滅の刃】ヒトを殺す者 (ページ34)

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第32話ページ34

夜、突然目が覚めた

やはり、この前のあいつの言葉が頭から離れないらしい

___"兄貴、と呼びなさい"

「っ、くそっ...!!!」

胸の奥底からどす黒い何かがせりあがってくるのを感じ、床を拳で叩き沈める

「はあ、はあ、はあ」

嫌な夢を見たせいで気持ちが悪くなり、頭痛がする頭と吐き気がする胸を抑えながら厠へと続く廊下を歩く

ﾄｰﾝﾀﾝﾀﾝ、ﾄｰﾝﾀﾝﾀﾝ

すると何処からか、耳障りのいい音が聞こえてきた

心做しか頭痛も治まったような気がするこの音に惹かれ、厠では無い方向に足が進む

ﾄｰﾝﾀﾝﾀﾝ

ﾄｰﾝﾀﾝﾀﾝ

廊下を歩いていくと、ある場所で足は止まった。

此処は、大嫌いなあいつの部屋の廊下だ

もう少し先に行けばあの部屋の庭に出る

しかし、大嫌いと言えども人とは好奇心には抗えないもので、足は再び前に動き出す

庭に出ようとしたその時、後ろから肩を叩かれた。吃驚して勢い良く振り返ればそこには先生がいた

思わず声を出そうとしたが先生が人差し指を口元まで持って行き、静かにしろという合図を送ってきたので口を押え堪える

「どうしてここに...?」

そう小さい声で尋ねれば、先生は俺と同じように小声で返してきた

「お主もこの音を聞いて来たんじゃろ？」

「？はい、」

「わしもじゃ」

「そ、そうですか....」

先生はこの音の正体を知っているのかどうか聞いてみると

「知っているぞ」

「!本当ですか」

「ああ、お主も見ていくといい」

そう言って庭に出る1歩手前の廊下の曲がり角を右に曲がっていく先生につられ俺も足を進める

この音、今までこの家にいて1度も聞いたことの無い音だった...虫などの類ではないとしたら一体何なのだろう

どくどくと聞こえそうなほど高鳴る心臓とは裏腹に聞こえる音はとても静かで

先程までの頭痛や吐き気はとうに消え去っていた

角を曲がった先を何故か見たくなくて目をギュッと閉じ角を曲がると何かに当たった

「目を開けろ獪岳」

先生の声がして目をうっすらと開ければ、ぶつかったのは先生の背中だとわかる

見てみろと言われた先に見えたのは月光に照らされながら舞う、俺の大嫌いな奴

____朝霧羌、その人がそこに居た