【赤髪の白雪姫】望みを持たぬ者 (ページ28)

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第26話ページ28

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「ちょちょちょ、ええ?!頭上げてくださいよアル殿！

ミツヒデさんもアル殿は別に間違ったことは言ってませんよ？」

そう、間違ったことは言っていない。だが、それは過去の話だとミツヒデは言っているのだ

アルもそれをミツヒデに諭されて初めて気付き自分の過ちを自覚したが、肝心のオビが自分の事だからかミツヒデの言っていることが深くまでは理解出来ていなかった

「...アル、少し頭を冷やしてきなさい」

「はい」

二つ返事でその場から離れ、自分の剣を取ると何処かに駆けていくアル

その背中を見送りながらミツヒデは先程から同じ所につっ立っているリュウを呼んだ

「オビの治療を頼む」

「はい」

黙々とオビの腕や足に出来た痣を診療し、湿布を貼っていくリュウ

そのリュウの指示に従いながらオビは目線をミツヒデに向けた

「オビ、お前が自分をどう思っているのかは俺にはわからない

だが、俺達はお前を大切な仲間だと思っていることは事実だ」

正直吃驚した。それが今のオビの心境だった

誰かに仲間だと、大切だと正面切って言われたことなど今までなかった事だからだ

ミツヒデから向けられた嘘偽り無い言葉に一瞬言葉を失い、照れ臭さが表情に出そうになった

が、そんな事は後から自分が恥ずかしい思いをするだけなのでいつもの様にヘラヘラとした口調で「ありがとうございます」とだけ言っておく

「その言葉、木々嬢の口から聞きたかったなー」

「人が真剣に言っているのにお前と言うやつは...」

うん、これくらいでいい。しんみりするのは性にあわない

「いっ、いたたた...リュウ坊もうちょい優しく...」

「我慢して」

けど、誰かに仕えるというのは存外悪くないものだ