第10話 ページ12
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なんて言うわけもなく、ミツヒデさんをゼン様の元に残して今はイザナ様の後ろをただひたすらついて行く
ただし、終始無言なのだ。別に話しかけられても上手く返せないので無言の方が楽でいいのだが
なんというか、空気が少しだけ辛い
スタスタと前を行くイザナ様が何を思って私を呼んだのかが全く読み取れず、私の緊張は増していた
「時に、アル...」
イザナ様が口を開き私を呼んだと同時に歩みを止めた
「はっ」
「お前、尾行は得意か?」
は?と口から出そうになるのを必死に堪え、思考を回す
「...やれと仰せなら」
「そうか...では、ここで待機せよ」
「はっ」
「ここで待機し、最初に現れた者を追え。例え王子でもだ
明朝俺の元へ報告に来い。話は通しておく」
「...はい」
言うだけ言ってイザナ様は行ってしまわれた
ポツンと残された私は周りを見渡す。ここは一体どこだろう
今日初めて王城に来たのもあって中がどうなっているのか全く分からない。というか現在地も分からない
兵に声をかければ案内してくれるだろうがイザナ様にここで待てと言われた手前動くわけにも行かない
しょうがない、身を潜めて標的になる方を待つとしよう
身を潜めた瞬間、何処からか足音が聞こえてきた。何やら2階の方が騒がしいらしい
2人の走る足音...こっちに近づいてくる
「お待ちくださいゼン様!!」
「付いてくるな!!」
「ではせめて行く先を」
「お前のいないところだよ!」
ミツヒデさんの声がする...という事はもう片方はゼン様か
何故ミツヒデさんはゼン様を追いかけて...と考えているところで上から人が窓を跨いで降りてきた
「(ええ...そこは2階ですよって....ゼン様?!)」
なんと落ちてきたのはゼン様であった。ダンッと綺麗に着地するゼン様を見て少々驚きつつお怪我がなくて少し安心する
すると間髪を容れずミツヒデさんも窓から降りてきた
「ゼン様!」
「おっ、お前何やってんだ
城の窓を跨ぐやつがあるか!」
「え!?申し訳ありません。とにかく追わねばと...
ゼン様は例外なのですね」
「嫌味か」
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作者名:戦力外 | 作成日時:2019年12月8日 20時