6-入学式 ページ6
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「えー桜が咲き、花々が街を彩るこの春の日に───」
長ったるい教育委員会の話を聞くふりをしながら、周りを見渡す。
笑顔、希望に染まりキラキラとした目の生徒たち。
子供の成長を微笑んでいる母親。
カメラで息子の顔を撮る父親。
気にしてない、つもりだったのに。
悲しいものは、悲しいみたい。
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退屈な入学式が終わり、私達新入生は、各々の教室へ向かった。
学校生活の決まりなどを聞いてから帰るみたい。
教室は、明るくて、調度品が新しかった。
素敵な教室だと思う、うん。
黒板に座席表が貼ってあって、私は真ん中ら辺の席。窓際がよかったのに。
席に着くと、前の席の女の子に声をかけられた。
「お早う。うち、津川梨奈や!よろしゅう。」
肩ぐらいのボブで、活発そうな女の子。
よろしく、って言おうとしたら、彼女はもう違う女の子に話しかけていた。シクシク。
早速挫折しかけた時、後ろから声をかけられた。
「あれ、バスで寝てた子ちゃう?僕のこと覚えてはる?」
水色のサラサラな髪が、私の目に映った。
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作者名:とこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yuitoko2/
作成日時:2023年3月16日 21時