泥棒猫に負けた俺【男主】 (ページ44)

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交流会後らしいページ44

目覚めるとそこは医務室だった。

「あ！起きた！」

視界にピンクが映ったと同時に大声が俺の鼓膜を揺らす。

とんでもなくうるさい。

『うるせぇ…』

起きて初めて出した声は少し掠れていた。

「お前いつまで寝てんだよ。」

「もう交流会終わっちゃったぞー。」

「おかか！」

相変わらずうるさい同級生に自然と口角が上がる。

『てか交流会終わったって、ま？』

「マジマジ！丸2日起きなくてほんと心配したんだから」

俺の寝ているベッドを囲むように居座っている生徒の少し後ろで五条先生が言った。

ここにいてくれていることだけでも嬉しかったはずなのに医務室に運び込まれた時はいなかったよなと考えてしまう。

俺も贅沢になったものだ。

高専に入ってから毎日のように五条先生に会えている。
心配してくれることすらも当たり前と感じているのだ。

ほんっとに贅沢。

いつか俺の気持ちに気がついて虎杖を捨ててこっちに来てくれないかななんて考えてしまう。

これは贅沢じゃなくてただのクズ思想か。

『交流会、どっちが勝ったんですか』

とりあえず頭の中の話題を切り替えるために全く考えていなかったことを口にした。

「勝ったさ。Aのおかげでね。」

夏油先生は俺のおかげだと言う。

実際俺のおかげだと俺も思う。

『ですよね。知ってます。』

「もうちょい謙虚になれよ。」

「しゃけしゃけ。」

『実際俺のおかげじゃん。お前らはもうちょい感謝を行動で示せぇ？』

「ははっもうすっかり元気だね。よかったよかった。」

笑った五条先生を見ると胸がキュンとした。

まったく、乙女かよ俺。

…いつか彼に思いを告げることはできるのだろうか。