秘密のようなもの ページ34
競技のスタート地点に行く途中、釘崎が虎杖にとんでもない質問をした
「アンタ真希さんのことどう思う？」
その質問に虎杖はなんともまあ可哀想なことになってしまった
すっごい顔してる
表情筋むっちゃやらかいじゃん
「と…とても…素敵な…女性かと…」
よく言った虎杖！
こんなどう答えても角立ちそうな問題によく、よく答えたっ！
「おいA。お前なんでそうなニヤニヤしてんだよ」
「うるさいぞパンダ。この状況を面白がってるに決まってんだろ」
「お前ってほんと性格悪いよな」
「先祖から受け継がれたものですけど」
「性格悪いことは否定しないのか」
にやにや笑ってこの状況を楽しんでいたらパンダに口出しされた
大人しく虎杖の慌てっぷりを観察しとけばいいものを
さて、ここからは虎杖くんの観察をしよう
「ケンカは超強い。重心っていうか歩き方でもうヤバい」
よくわからんけどむっちゃ強いっていうのはわかった
「真希さん4級なの」
「え"、マジ？」
驚いてんな
俺も最初びっくりした
わかる。虎杖、分かるよ！
「家が面倒な術師の家系でね、セルフ勘当みたいに出て行った真希さんの昇級邪魔してんのよ」
マジでうざいやつよな
陰湿ないじめってこういうことだろ
「術師の家系なら強い術師は大歓迎じゃねぇの？」
「一度否定したものを認められないのよ。バカだから」
釘崎よくわかってんね
「でも交流会で活躍して真希の名前がある程度広がればそういう嫌がらせも難しくなるよな。あ、あとAもか」
「え！？なんで知ってんの！？」
おっとつい声が出てしまった
ずっと傍観者でいようと思ったのに
「いや、まあ俺の方は真希より全然酷くないしまずは真希のほうだろ。真希のためにがんばるぞー！！」
「そうよね。そのためにまずは団体戦で勝つ！！アンタももういっぺん死ぬ気でやんなさい」
「はい…」
「聞こえてんぞー。ったく」
「あ、出たツンデレ。真希顔赤くなってんぞー？いやー後輩って可愛いよなー」
「うるっせぇ！」
「痛った！？折れますけど！？」
「こんぐらい大丈夫だろ」
「大丈夫だけどさ」
これで誤魔化せたか？
話題は完璧に真希にそれたな
俺は言いたくないことというか言う必要のないことを言わないということと引き換えに足にダメージを負ったのであった
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作者名：万年ぼっち | 作成日時：2023年12月25日 21時
