俺が死んだとて ページ21
こそこそと盗み聞きしてもなにも良いことはなく、逆に何か、漠然とした不安が俺の中に生まれた
人差し指の怪我さえ忘れてのそのそと部屋へ戻った。
部屋に戻ったら何故かわからないが全身の力が抜けてその場に座り込んだ
そして頭の中をずっと五条先生のあの震えたしんどそうな声がリピートされている。
「俺の頭に録音機能でもついたのかよ」
ははっと誤魔化しぎみに笑っても何も誤魔化すことはできなかった
俺が誤魔化せなかった少しの歓喜の気持ちと五条先生のあの声は頭の奥底まで深く根付いた。
もし、これ以上生徒が死んでしまったら彼は、彼らはどう思うのだろうか。
来て数ヶ月の彼が死んだだけ、というのは言い方が悪いが。
それであれだけ悲しんでいる彼らは昔から可愛がって来た恵、パンダ、棘、真希。
最近きたにもかかわらずノリが良くてすぐに打ち解けた釘崎。
こいつらが死んでしまったらさっきより苦しい思いをするのだろう。
数秒聞いただけの五条先生のあの声が頭から離れないんだ。
五条先生にもうあんな思いはしてほしくない。
だから
「俺がアイツらを守ろうか」
こんな出来損ないが死んだとて、なにも変わりやしない
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作者名:万年ぼっち | 作成日時:2023年12月25日 21時