棘さんよぉ ページ3
じゃりじゃりと靴の裏で砂が擦れる音がする
校庭には誰もいなかった
俺の足跡だけが響いていた
次はコツコツと温かみのある木の音がするようになった
校舎内に入ったのだ
どこからか1年生の笑い声が聞こえてくる
あ、棘たちの声も聞こえてくる
さては一緒にいるな、あいつら
一階からは声が聞こえてこないのでそそくさと二階へ続く階段を駆け上がる
たんたんたんっと軽やかな音が鳴った
２階の廊下へ出てみるとちょうど教室へ入っていくところの夏油先生の前髪が見えた
それに廊下に楽しそうな声が響いている
きっと夏油先生が入って行った教室にいるのだろう
夏油先生の後を追うように駆け足で廊下を通り抜け、目的の教室の扉を開けた
すると
ベチャッ
俺の視界に入り込んできたのは色とりどりの髪、瞳を輝かせて笑っているみんなではなく、一面の白だった
目は白以外の情報は入ってこないが
耳からは情報が入ってくる
釘崎と虎杖が爆笑している
真希とパンダには鼻で笑われている気がする
棘はイタズラが成功した子供のように笑っている気がする
五条先生の大きな笑い声と、伏黒と夏油先生のおさえているけど抑えきれていない笑い声も聞こえてくる
きっとはめられた
気づくのに時間はかからなかった
おそらくだが俺のイケメンに近い顔面には紙皿とクリームが付いていることだろう
そして俺にこんな事するのは大体棘だ。
今回もあいつだろう
俺は顔面から紙皿を剥ぎ取り、顔に残ったクリームを手で拭き取り、そのクリームをもう一度紙皿へ戻した
視界を前に戻すと、なにをしているんだろうというように全員がこちらを見ている
油断し切ってザマァねぇな
俺は紙皿を棘の顔面に投げつけてやった
しかもドンピシャで命中
「はっ！ざまぁっ！」
俺がそう言ってみると棘が顔から拭き取ったクリームを両手につけてこちらに迫ってきた
「明太子･･･おかかぁー！」
「ふぁ！？ちょっ！くんな！」
棘は俺の静止の言葉も聞かずにこちらに突進してくる
それはもう、猪のように
あいつは、自分が足が速いことがわかっているのだろうか
本当にわかっているのだろうか
ふざけるなよ、とか思ってももう遅い
何故なら俺の背中に棘が全速力でぶつかったところなのだから
しかも加減なんてない
「はっっ」
肺の中の空気が抜けた
マジで一瞬息ができなかった
その後、夏油先生に助けてもらった俺は棘の頭を一発ぶん殴ってやった
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作者名：万年ぼっち | 作成日時：2023年12月25日 21時
