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クズとチャンス ページ19
雨上がりのグラウンド
木陰に座ることもできず立ち話をして一年を待った
乙骨は今何してるだとか、好きな人はいないかだとか
しょうもない小学生みたいな話をしていた
しばらく話していると黒の車がみずたまりを踏みつけ高専の前に水飛沫を上げながら止まった
そしてそこから一年生2人が出て来た
俯きがちな黒と茶の頭
二つの色はそのままこちらに歩いてくる
それでもう一つ、一際目立つ色がないことに気がついた
優しい色の桃色が足りない
「なぁ、虎杖は？」
ここで聞いてしまったのが駄目だったのかもしれない
でも焦っていたんだ
漠然といやな予感がしていたから
真希も棘もパンダも心配そうな顔をしてたから
でも、あいつらのことを考えてたらここでは聞かなかったんだろうな
「死にました」
皆、息を呑んだ
そして俺の中に生まれたのは後悔
それと、少しの歓喜
もちろん、虎杖が死んだのは悲しい
できればいなくなって欲しくなかった
でも、虎杖がいなくなれば？
俺にもチャンスがあるかもしれない
仲間が死んですぐこんなことを考えてしまうのは性根が歪んでいるから
俺が救いようもないクズだから
「そっ、か、聞いて悪かったな。ちゃんと休めよ」
自分の中にあるいろんな感情をなんとか押し込めたがこれを言った時、俺はどんな顔をしていたのかわからない
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作者名：万年ぼっち | 作成日時：2023年12月25日 21時
