泥棒猫に負けた俺【男主】 (ページ16)

今日:22 hit、昨日:32 hit、合計:3,949 hit

心の安定感ページ16

「おーい。A？」

俺の頭はようやく追いついてきたようだ

そして推理を始めた

この背中と膝裏から伝わる安定感は一体なんなのか。

体制から考えてみたら俺は

「お姫様抱っこ、されてる？」

「うん」

なんでもないように答える五条先生

イケメンだぁ

なんて冗談は置いておいて！

「五条先生、恋人いるでしょ？こんなことして大丈夫なんですか」

「あ、悠仁嫉妬しちゃうかな。いや、でもそれはそれでいいっ！」

先生のその言葉で俺のさっきまで爆発しそうだった心臓は爆弾解除されたみたいに落ち着いた

そうだよな。俺に勝ち目はない。

先生だってベタ惚れだし、わって入る隙間もあるわけがない

「さ、A！立てる？」

五条先生は俺に声をかけてから地上に降ろしてくれた

「はい。ありがとうございます」

負け犬の俺には五条先生の去ってゆく背中を眺めることしかできないみたいだ

廊下に消えていく背中を見てそう思った

五条先生がいないだけでいろんなことを考えてしまう。それに思考はネガティブにネガティブにと流されて行ってしまう

俺の心は五条先生がいないだけでこんなにも安定感をなくしてしまうのだろうか

まるで宙に浮いているかのような不安定感が俺の心を襲っている

拗らせもいいところだな

でも、あんなにかっこよくて頼りになるんだ。

仕方ないとしか言いようがないだろう？

「そうだよな？」

自分に語りかけても答えが返ってくるはずはないのに。

「はぁ、俺ってバカだなぁ！」