泥棒猫に負けた俺【男主】 (ページ2)

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案外平気ページ2

足に伝わってくるのはズボンが徐々に湿っていく感覚

今の気分は紛うことなき最悪で色は青だろう

なのにどうして目の前の海はこんなにも赤くて綺麗なんだろう

「はは、正反対すぎて笑えてくるよ」

失恋なんて初めてしたもんだから立ち直り方なんてわかんないよ

これが初恋だったのにな
一生引きずる初恋になりそうだ

あんなに赤かった海も、もう彩度を失いつつある

俺の恋みたいだなぁなんて思いながら横目で海をながめる
潮風が俺の頬を慰めるように優しく撫でた

慰めなんていらねぇよ

とか、自分を慰める言葉は出てこなかった

代わりに出てきたのは涙だけ

俺は海においでと引き寄せるような風に逆らって涙をみっともなくぼろぼろと流しながら走ってホテルまで戻った

部屋に駆け込みベッドにダイブしたところあたりから記憶はない

翌日、俺の顔ははっきり言ってブスだった

目がパンパンに腫れていて
昨日失恋したことを嫌でも思い出させてくる

「あー、やば」

思っていたよりも明るい声が出た

精神状態は大丈夫だったらしい

さて、もう荷物をまとめないと飛行機に置いて行かれてしまう

まぁ、最悪夏油先生を呼んで呪霊に乗せてもらうんだけど

散らかっている服やらなんやらをカバンに詰め込み、時間確認のためになんとなく電源をつけたスマホにはたくさんのメッセージが届いていた

確認してみると、内容は全てお土産のことだった

1年生からもきている

ちんすこうを買ってこいだとかTシャツ買ってきてだとかこいつらマジで態度がなってねぇな

パンダからは俺にあうアロハシャツを頼んだってきてるし

あんなでかいパンダに着せるアロハシャツなんてあるかよ

「ふふっ」

自然と笑みが溢れた

軽い足取りで空港へ向かった

先ほど態度がなってなとか思ったけど頼まれたものを探しに行っている俺はアイツらのことが大好きなんだろう
国際通りにもよった

とりあえずいっぱい買った
流石にパンダサイズのアロハシャツはなかったけど

その後、人に流されながら飛行機に乗り込み、隣の席だったカップルに心の中でありえないほどの罵声を浴びせていると、あっという間に東京へ戻ってきていた

席を立つ最後の最後まで嫌いだったカップルに心の中で中指を立てながら俺も席を立った

で、そこから電車に乗って歩いて、あっという間に高専の前

お土産を配りに行ってやろう、と俺は高専内へと足を踏み入れた