27コール 只今混乱中 ページ29
*
そこにいたのは、黒帽子の彼
『え………どうしてここに?』
思わず呟くと、彼は不機嫌そうな顔になる
「……ここにいちゃあ悪いかよ」
ふてくされたようにそう云い放ち、
「つーか手前、いつまでソイツとくっついているつもりだ」
と、ぐいっと乱暴に私の肩を引いて、太宰さんから引きはがした
『へ?』
思いきり引っ張られた所為で、今度は彼の方へ倒れこむ事になる
丁度彼の肩に顔を埋めるカタチである
倒れこむと同時に後頭部をがっちりとホールドされ、動けなくなった
ふわり、と彼の香水の匂いが香る
(え、ちょっと待ってどういう状況⁉)
と、
「…中也、女性にあまり乱暴な事をするのはいただけないなぁ」
そう云って太宰さんは今度は私の片手をとった
顔は見えないが、途端に彼がムッとするのがわかる
私を抱きしめる片腕に力がこもった
(なんだ、このシチュエーションは…⁉)
混乱する私を他所に「それにさあ」と太宰さんは続けた
「あの鉢植え、中也の仕業だろう?Aちゃんに当たってたらどうするつもりだったんだい?」
え、あれは彼が…?
思わず視線だけ彼に向ける
「あたらねぇよ。手前を足止めするのが目的だ。ハナから誰かに当てようなんて思っちゃいねぇ」
どうしてそんなことを…?
『えっと…イマイチ状況がつかめないのですが…?』
私が口を挟むと、太宰さんが挑発的に彼に云った
「ほら、Aちゃん苦しそうだよ?早く離してあげなよ」
「まず手前がその手を離しやがれ」
暫しの沈黙
すると、
太宰さんが「わかったよ」と私の手を離した
「…今回は引こうじゃないか」
太宰さんは踵を返そうとするが、「嗚呼そうだ」と思い出したようにポケットを漁り、此方に“何か”を投げた
「Aちゃんの忘れ物だよ」
「…なんで手前が」
それを片手で受け取った彼は太宰さんを睨むが、
太宰さんは特段気にする素振りも見せずに、「またね、Aちゃん」と云って今度こそ立ち去った
__太宰さんの姿が完全に見えなくなるまで、彼は私を離さなかった
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水瀬琥雪 - うぅ…好きです!!こう言う恋も素敵だなぁ… (2022年12月21日 22時) (レス) @page46 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» そうなんですね。ありがとうございます。 (2022年3月1日 19時) (レス) id: 71a9499b2d (このIDを非表示/違反報告)
六 - もちさん» あ、混乱させてすみません。もう自分が通報したので消えましたが、この葵って人、謝った後「なんて言うとでも思った?wwおばさんww」って返しててあまりに失礼だと思ったので介入しただけです… (2022年2月26日 0時) (レス) id: e32b92c4c5 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» どういう状況すか?よくわからないんですけど。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: 5b4b0a933b (このIDを非表示/違反報告)
六 - 名無しさん» 名無し、お前は間違ってないぞ。評価1000評越えが羨ましいキッズが妬んでアンチコメしたらばっちり言い返されてキレてるだけだからwこういう奴は相手する価値ない。無視しようぜ。 (2022年2月8日 1時) (レス) id: 7b7a62c26c (このIDを非表示/違反報告)
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