間違い電話がかかってきた【文スト】

1コール 弱虫 ページ2

*






電話は、苦手である






私は、昔から五月蝿く鳴り響いては、早く出ろと急かすこの電子機器が、どうにも好きになれないのだ





否、正確に云うとすれば、私が苦手なのは電話というより、通話





だから、電話をかけてきて欲しくはないし、かけたくもない




これが唯、面倒な事から逃げているだけ、っていう事は分かっているけど




嫌なものは嫌なのだ





そんなくだらない理由で電話を嫌う私は、





まったくもって、自己中心的かつ、_____弱虫だ








…とまあ、私個人の勝手な意見と自虐は此処までとして。




本題に移ろう。否、問題に移ろう








現在、







……ーー弱虫は、勇気と闘っている真っ最中








prrrr_________！



『……』





私の手の中には、けたたましい音をたてて震える携帯



……久しぶりに聞いたコイツの音に驚かされたのは、云わずもがな






現時刻午後10時すぎ。自室


良い子はとっくに寝ているであろうこの時間に、その電話はかかってきた


…まったく誰だこんな夜遅くに






おまけに、その液晶に映されているのは私の知らない電話番号ときた




私が電話嫌いなのを差し引いても、出るのには少し勇気のいる着信である







さて、出ようか、出まいか____









『……………無理』









弱虫の圧勝である



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