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▽イゾウside
「…このおふねにいたひと。」
静かな部屋にはAの小さな声はよく響いた。響いたからこそ、聞こえたソレは。
「…この船にいた？」
過去形、だ。
「グララララ。A、どういうことだ？」
オヤジがAに尋ねる。その問はAを馬鹿にするわけでもなく、本当に心からの疑問をAへ問うたのだ。
「…このおふねにまえ、のっていたひとから、きいたのです。」
Aはゆっくりと考えながら答えていた。
「…ずいぶんとまえに、とうさまよりも、さきにいってしまったと…なげいているひとから、きいたのです。」
華奢な、小さな体が震えているのに気が付いた。
「……とうさまは、ごびょうき、なのですか。」
再度オヤジへと問うたAの声は、先程とは違って泣きそうな声だった。
(あぁ、また"家族"を失うのかと思っているのか)
Aの言う『この船に乗っていて、オヤジより先に逝ってしまったと嘆いている人』のことよりも、ただAがオヤジがいなくなるのではないかと怖がっている事にオレの思考は向いた。
「グララララ。」
オヤジは笑った。
笑って、Aへ向けた視線は"愛おしさ"だった。この子は、オヤジをちゃんと"父親"として見てくれていた。それがオヤジには嬉しかったようだ。
「A、確かにオレァ病気だな。」
「！」
「でもまだ死ぬわけにはいかねぇなァ。」
死ぬわけにはいかない、か。
オレだってオヤジにはまだ、まだ生きていてほしい。この人には、ずっとオレたちの船長で、オヤジでいてほしい。
「まだ、オレァやることがあるからな。Aが大人になるまで生きてやるさ。グララララ！」
「……ほんとうに…？」
「あァ。オレァ病気なんぞに負けねぇ。」
ハッキリ、そう言ったオヤジにオレもまた、安堵した。オヤジの病気は一向に良くならないと聞いていたからだ。心のどこかでその不安はあった。
でもゆらりゆらりとAの瞳は揺れ、その顔はまだ"不安"でいっぱいだ。
「……まだ、とうさまをつれていかないで。」
酷く小さな声が、そう言ったのを聞いたのはAを抱えていたオレだけだった。
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うさな - 面白かったです!めっちゃ続き気になるー！！更新頑張ってください! (4月28日 14時) (
レス) @page40 id: 8b6881ee90 (このIDを非表示/違反報告)
麗葉 - 少年陰陽師を私は知らないんですけど、それでもとても面白かったです！続きも楽しみにしてます！ (5月30日 17時) (レス) @page40 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
もっくん(プロフ) - 質問以外、コメントを返すことはしないと思いますが、励みにはなっておりますので感想聞かせて頂けると幸いです◎ (2023年4月24日 2時) (レス) id: 55d108408f (このIDを非表示/違反報告)
もっくん(プロフ) - いつのまにか沢山のコメントありがとうございます。何となく、ふと戻って来てきみてこんなにも沢山の人に読んで頂けて嬉しいです。これからも亀よりも遅いし、気ままに更新していこうかなと思っております。 (2023年4月24日 1時) (レス) id: 55d108408f (このIDを非表示/違反報告)
リラン(プロフ) - たまらなく嬉しいコラボ作品です！続き楽しみにしてます！ (2022年12月23日 0時) (レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もっくん | 作成日時：2017年6月17日 12時
