18、真相 ページ19
広い施設の狭い廊下は動く侵入者を排除しようと動く異形と死んだ異形の死骸でいっぱいになっていた。その異形たちを踏み越えて、ハザマ達が駆け抜ける。すでに強化実験室は直線距離で10mまで迫っていた。
「あともう少しで実験室だ!突っ切るぞコト!」
「…了解!」
襲いかかる異形をはねのけてハザマとコトは強化実験室に飛び込み、鉄扉の開閉レバーを引いた。鉄扉が勢いよく閉まり、体の半分まで実験室に入っていたアレスが扉に挟まれて真っ二つに切断されて死亡した。
強化実験室は話に聞いていた通り凄い広さと奥行きがあった。一面白のタイルで作られた壁には傷ひとつなく、先ほどアレスを切断した鉄扉の開閉力を見る限りとても頑丈に作られているようだ。
「やはりここに来たか。…ようこそ、地下実験場へ。」
突如奥の方から声が投げられる。そちらに目をやると、そこにはこの施設には見合わない神父服を着た大柄な男が立っていた。乱雑に包帯を巻いているせいで顔は分からないが、その包帯で巻かれていない目は鋭く、口は左の頬が避けて歯がむき出しになっていた。その喉から発せられた声はとても低くしゃがれていて聞き取りにくい声を発していた。
「この顔が気になるかね?なに、その昔に左頬を銃で撃ち抜かれたものでね…。そんなことよりも、貴様らには私の実験体が世話になっているそうじゃないか。」
「やっぱり、あの異形を作ったのはあんたか。なぜあんなものを大量に?」
ハザマは冷静に答えを探る。男はその様子を特に警戒する素振りもなく淡々と聞いていた。
「あれは、神になり損ねたものだ。」
「神だと?」
「左様。私の研究はこの手で神を作り出すことだ。」
聞けば男はかれこれ20年前から神を作り出す研究をしているらしい。そして数年前に人目を避けるために地下に研究施設を作り、近くのジャルドーレ通りや隣国から実験体として人をさらってきていたと言う。
「どうやって人間をあんな異形に改造した?この19世紀のご時世にそんな高度な技術なんて存在しないと思うが?」
ハザマがそう問いかけると男は服のうちポケットから小さな瓶を取り出した。手のひらサイズの透明な瓶には赤い液体に浸けられた見覚えのある生き物が入っていた。
「ゴッドウィルスだ。私が20年かけて開発したもので、これを接種された生物は細胞が急激に活性化し、状況に応じた進化を始める。パイルターは肉体の支配を安定させるためのものだ。すでに製造は錬金術で量産可能だ。」
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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時