17、地下実験 ページ18
実験所内部は所々に吊るされたカンテラの明かりにより、炭鉱の中とは比べ物にならないほど明るかった。死んだ被研体をそのまま放置してあるのか、入ったときから強烈な腐敗臭が漂ってきていた。
コトの話によるとこの施設はいくつかの区画に別れており、実験の資料は施設の最奥部にある総合区画の資料室にまとめて保管されているという。しかしその区画に行く通路は、被研体や研究者がうろついている実験区画から出る連絡通路一本だけだと言う。
「ったくよぉ、防犯の都合上だかなんだか知らないがめんどくさい所に作りやがって。」
そして現在はその実験区画の端にある物置に身を潜めていた。移動中は亡者のような被研体の呻き声やら叫び声がひっきりなしに聞こえてきて頭がおかしくなりそうだった。そしてここの施設で異形の実験が行われていることも間違いないようだ。研究員の目を逃れるために入ったある部屋で、冷凍保存された異形を見つけてしまったのだ。もう少し詳しく調べれば決定的な証拠なんていくらでも出てくるだろう。
「コト。連絡通路までどのくらいだ?」
「…ここの倉庫を抜けて1000m先に強化実験室がある。巨大な被研体や強力な被研体の実験をする場所。そこの先にある。」
丁度それを聞いた直後だった。突如施設内に耳をつんざくような警報が響いた。あわてて倉庫の中から出ると、廊下にいた研究員が避難を開始しており、入れ替わるようにすごい数の観音兵と新型…『アレス』と呼ばれるらしい異形が此方に向かって来ていた。どうやら侵入は早い段階で気づかれていたらしい。
「後はねぇ!突っ切るぞ!」
「…了解。」
コトは左手でベイオウルフを構え、右手で右足についているレッグホルスターからもう一丁黒いマグナムを取り出した。新しく新調したもので、コトは『ジャバヴォック』と言っていた。白いベイオウルフが対人用とするなら、黒いジャバヴォックは正しく対異形用の銃だ。
その横でハザマは服の下に隠していた武器を取り出した。それは一振の剣だ。東洋剣、刀と呼ばれ、普通の剣と違って片刃の剣だ。ジャルドーレ通りのある骨董品店で偶然見つけたもので海岸に打ち上げられていたらしくボロボロに錆び付いていたのをハザマがヤスリで磨ぎ直したのだ。勿論今回持ってきたのは試し切りも兼ねてである。
そして二人は異形の頭を撃ち抜き、首を撥ね飛ばして突き進んでいった。
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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時