14、生きる屍 ページ15
異形が動く前にコトのベイオウルフが火を吹いた。放たれた13俤變鉄鋼弾は寸分違わずに異形の頭部を捕らえる。異形が怯んだ隙に俺は一気に間合いを詰め、盾のような左腕を掴んで投げる…はずだった。
直後、足にくるすごい衝撃。ぐるりと視界が一回転して俺は地面に倒れた。言うまでもない。異形の右腕、大剣のような形状に変化したその腕で足を払われたのだ。しかし、ぼぉっとしている暇はない。異形の左腕が俺の頭の上まで迫っていた。
咄嗟に体をひねってその場を避ける。俺がいた場所を異形が殴り付け、小さなクレーターが出来上がる。あの腕で殴られたら、一気にスクラップになってしまうだろう。
ゆっくりと此方に向き直る異形。予想に反してその動きは歩いても追い付けるほどゆっくりだ。急激に巨大化した上半身を下半身が支えられなくなったのだろうか。何にせよそのくらいの速度なら追い付くのも待避するのも容易いだろう。
「コト。徹底的に頭部を狙え。」
「…了解。」
短く答えたコトが攻撃に移る。しかし先程頭部に命中した攻撃を覚えているのか、異形は左腕の盾を器用に使って頭部を守り始め、そのままジリジリと距離を詰め始めた。
そこで俺は足を払ってみると、思いの外異形は容易くバランスを崩して倒れた。そのまま頭部を踏みつけようとしたが、倒れた状態で異形は右腕の大剣を振り回して暴れる。だが、敵がその場から動かない状態はコトにとっては的同然だ。連続で放たれた弾が異形の頭部を確実に破壊していく。
しかしここで予想外の出来事が起こった。頭部を破壊された異形の上半身が突如膨れ上がり、そのまま破裂したのだ。辺りに肉片や鮮血が飛び散る中で破裂した異形が起き上がった。
上半身を失い下半身だけの怪物となった異形だが、その身体には上半身の代わりにくねくねと動く長い骨のような部分が突き刺さっていた。人体で言う脊髄に当たる部分だろうか。
その人体で異形はこれまでのゆっくりした動きを捨て、俊敏に此方に走り出した。脊髄と思われる部分の先端からは短い触手のようなものが生えており、そこが青白い電気を出していた。
「体破裂させても動くのかよ!てか、どうやって位置を把握してるんだよ!」
「…多分、あそこについている目。」
見ると脊髄の先端、触手に囲まれた中心に一つの目がある。そこで視界を得ているのだろう。
その目玉をコトが冷静に撃ち抜くと、脊髄は音を立てて砕け、下半身だけとなった異形がその場に倒れたのだった
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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時