22、一からの ページ23
この短時間にコトがしたことを簡潔にまとめると、ハザマがゼロと殴りあっている好きに男のたっていた高台に高速で上がり、pcを操作してこの部屋を無菌状態にしたのだ。
その代償として身体にアザが浮かんで気絶している。拒絶反応だ。
「コト!よくやった!でもちくしょぉぉぉぉぉ!」
爆発が大きくなっていき、実験室が崩壊し始めた。ハザマもなんとか高台に上がると気絶しているコトを担ぎ上げ、その足でしたに降りたあと、ゼロの所に向かった。
その細い身体からは想像もつかないほどの力でゼロの巨体を持ち上げ、そのまま脱出を図る。
体にまとわりついてくる異形たちを蹴りあげながらもと来た道を引き返し外に出た瞬間、廃坑は爆音と黒煙を上げて崩落した。
△▼△▼△▼
「昨日未明、ジャルドーレ郊外にある廃坑が謎の崩壊を起こした。幸い負傷者はおらず、老朽化による崩落とみている。」
今日発行された新聞を読みながらハザマが朝食のベーコンエッグチーズトーストを頬張る。
「嘘つけ、負傷者一名の間違いだろうが。」
あの後、ハザマはそのままの状態でかかりつけ医であるジェイドの病院になだれ込んだのだ。数ヵ所の脱臼に数ヵ所の骨折。計二十三箇所を縫う怪我にも関わらずハザマはぴんぴんしていた。拒絶反応を起こしていたコトも菌類を与えられて復活した。
そんなことよりも、今最大の問題は別のところにあった。
「お前をどうにかしないことにはなぁ…なあ、ゼン。」
ハザマとコトの視線の先には顔にガスマスクを着けた屈強な青年『披験体ゼロ』。命名、ゼンがいた。床に座り、力なくうなだれるその姿は人の形をしたテディベアのようだ。
実験室であれほど暴れていたゼンだったが事務所につれてきて目を覚ますと、今までの暴れようが嘘のようにおとなしくなったのだ。一応意識もはっきりしているが、言語を話すのが難しいらしい。
「こいつ昨日から何も食ってないけど、大丈夫なのか?」
「…私と体の構造が同じなら、何も食べなくても問題はない。」
「…お……う……」
ゼンから実験のことを聞こうと思っていたのだが、本人はこんな状態であまり期待できない。
すなわちあの実験室が崩壊したことにより、すべてが一からのスタートとなったのだ。
「……ま、うだうだ考えててもしかたねぇか。コト、早速また情報集めに行くぞ。ゼンはここで留守番しててくれ。」
「…わかった。」
「ま……まか…まかせろ……」
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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時