2、情報 ページ3
この街で失踪者が出始めたのは数ヵ月前だ。初めの失踪者は古生物学者のリチャード・D・モリスンで、俺の所にも回収の依頼が届いていた。
五十を過ぎても現役で山などに入っていたリチャードの事だから、初めはみんな遭難程度にしか考えていなかった。
だが日がたつにつれて一人また一人と人が消えていき、世間が異常に気づき始めた頃には失踪者は三十人近くにまで上っていた。
そのうちの何人かはすでに回収していたが、当然のごとく全員屍の状態で回収する事となっていた。
だが、不可解なこともいくつかあった。一つは回収した場所は全て共通点の無い場所だっことだ。廃教会、廃アパートの一室、地下水道、山道、路地裏、全ての遺体が共通点の無い別々の場所に捨ててあったこと。
そしてもう一つは、死体が綺麗すぎることだ。回収した数名の死因は全て不明。傷もついていなければ窒息した訳でも無し。急に老衰して心臓が止まったとしか考えられないような死に方をしていた。
共通点としてあげられることも全員が二十歳以上の成人であること以外なにも無し。これ以上は情報不足で前に進める状態ではなかった。そこで俺は情報を探すために旧友の力を借りることにした。この近くに住んでいる伯爵様なら事件のことも耳に入っているだろう。
「つっても、あいつも多忙だからなぁ…。会えるかわかんねぇけど、行ってみるか。」
新しいタバコに火を付けて事務所を出ようとした俺の耳に、地下から誰かが登ってくる音が聞こえてきた。階段の方に目をやると、いつも地下にこもっていることが多いコトが上ってきていた。
「…ハザマ?…死体…探しにいくの…?」
「あ、いや。伯爵様の所に行くんだ。お前も行くか?」
コトが無表情のままうなずく。そして俺は事務所をあとにした。
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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時