〜縮まる距離〜 ページ4
帰り道、夕陽が背中を照らし目の前には赤く染まった景色と自身の影が動いていた。
いつもは一つだけの影だが、今日は二つになっていた。
沈黙の中、2人の靴の音だけが鮮明に聞こえてきた。俺が話題に困っていると
灯「真那兎君は、噂を信じるかい？」
と、聞いてきた。自分は
「信じやすい性格だなとは言われたことがある…あります。」
と少し戸惑って言った。彼は、呼び捨てでいいしタメ口でいいとも言ってくれた。
灯「そうなんだね。他の人のことを信じるのはいいことだ。だけど、信じ過ぎても良くないからね？」
…確かにそうだ。今日の休み時間にクラスの人がしていた「噂話」を鵜呑みにしてしまっていた。こういう所が俺の悪い所だ。
考え込んでいると、
灯「大丈夫？顔色悪いけれど…」近場で休むかい？とまた心配させてしまった。
そうだ、こんな俺と話していても疲れるだけだし、面白くないだろう。
「心配してくれてありがとう。ところでこんな俺と話しても面白くないだろう？さっきから心配させてごめんね。俺にもう構わなくていいよ。」
…嘘だ。もう構わなくていいなんて全く思ってない。けれど、どうせまたすぐに転校するんだ。友達になっても離れて最後。もう悲しい思いをしたくない。
そして、させたくない。
灯「あははっ！君はやっぱり面白いね、きっと君はお互いが傷付かない方法を選ぼうとしているんだね？」
俺の心が読めるように、彼は言った。彼は続けて
灯「僕は、君と好きで話をしているだけだよ。身勝手な僕の行動だ。そして、君が心配している物の対処法をもう考えてある。」
もしかして、心の中読んでる？と、会話を繋げようとして違和感に気がついた。
そこで自分が涙を流していることに気付いた。
「...！ご、ごめ...！」
謝ろうとするけれど次から次へと涙が出てきた。
灯「今まで辛かったね。もう君はひとりじゃないよ。安心して」
確かそう言ってた気がする。
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