追憶【煉獄杏寿郎】

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体調が悪いので、と無理矢理に教室を飛び出し逃げ込んだのは保健室。ベッドに潜り込んで枕に顔を埋めるが
何度深呼吸をしても、作られた染みは広がるばかりだ。


てっきり、生まれ変わっているのなら当然のように記憶もあるのだと思っていた。奇跡的に再会できて、あの頃に伝えられなかった想いを伝えあって。教師と生徒なんて関係なく想いさえあれば、なんて思っていた私はとんでもなく浅はかだった。





『師範…っ、』



現代ではあまり聞かない呼び名を口にした。
やっぱり私はあの時代を生きた鬼殺隊士であったと。
それと同時に記憶なんて持っていなければよかったのにと絶望した。





この学園に転校した事を早々に、とんでもなく後悔した。やっぱり、悶々としながらも普通の人生を送ればよかったんだ。



私はこの先ずっと、どんな人と恋に落ちようが、
どんな人と結婚して順風満帆な人生を送ろうが。




必ず頭の片隅には彼の笑顔と最期の姿、
そして今となっては呪いともとれる言葉が邪魔をするのだろう。




こんなこと、他の誰にも打ち明けることが出来ない。
誰にも私の苦しさを吐き出せない、わかってもらえない。
こんな生き地獄の中で、この激情を抑え込んで過ごしていかなければならないなんて。


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