青空-my blue sky-＊無神コウ＊ディアラバ＊ (ページ6)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:23,431 hit

出会ったときページ6

家に帰って自室に戻るとすぐにベッドに寝ころんだ。
…コウ。
懐かしいその名前は、いつまでも耳に残っている。
目を閉じると思い出すのは、きれいな青空。
空の色に生える金色の髪。
私があの孤児院での過去を、「家族」との過去を思い出すのには十分だった。
　 ✝
あの日、初めて青空を見た。
小さく丸い窓から見える日光に思わず目をつむる。

ここは小さな孤児院。
小さなといっても多くの子供たちが入っている。
私は、子供の声や騒ぎ声がなぜか全く聞こえない、気味の悪い孤児院の廊下を歩いていた。
あまり、というか全く外の世界、なんてものに興味がなかった。
そんな私だったから、初めて空を見て、凄く感動した。
ああ、外の世界にはこんなに素晴らしいものがあったんだな、と。
外に出るのはたいてい、貴族の元へ「商品」として行くときだけ。全くいいイメージがない。
何も考えず、ぼーっとしながら歩いていると、一人の少年とぶつかった。
『わっ…』
「うわあっ！？」
相当びっくりしたのか、その少年はすごい声をあげて思い切りしりもちをつく。
『ご、ごめんなさい…！ちゃんと前見てなくて…』
そう謝ると、彼はゆっくり顔をあげる。
怒られる…と思ったのに、少年は小さな笑顔を見せてくれた。
「こっちこそ、ごめん。…君もここの孤児院の人？」
『うん。君も？…名前を、聞いてもいい？』
「俺の名前はコウだよ。君は？」
『私は…私はA、です』
少年…コウは、「ふーん。A、か。」と言って私から視線を外すと、窓の方を見上げた。
『なに見てるの…？』
少しの沈黙に耐え切れず私が聞くと、コウは一言「青空」とだけ答えた。
確かに言われてみれば。窓の外には抜けるように青い青空。
でもどうして青空なんて見てるの…？
そう聞こうとした直前、足音が聞こえてくる。
『「あ…」』
勝手にふらふらしているところを見られたら怒られるかもしれない。
私たちは短く「じゃあね」とあいさつをして、反対方向に走っていった。