第40話 ページ42
「A、そろそろ上がっておいで」
私は魘夢に素直に従い、海から上がった。
『ヘクシュン!』
海にずっと入っていたから身体が冷えてくしゃみが出た。
「ほら、、ずっと海に入っているから、、、」
そう言いながらも彼は燕尾服の上着を私の肩にかけてくれた。
『ふふふ、あったかい』
「A」
いつもと違う彼の低い声に驚いて、彼の方を見るといつものおっとりしたような雰囲気はなく、
緑色の綺麗な瞳が私を真っ直ぐ見つめていた。
『どうしたの?そんなに真面目な顔をして』
「大事な話があるんだ」
そう言った途端、髪に違和感が走る。
『!これは、、』
「簪だよ」
彼は女性に簪を贈る意味を知っているんだろうか、、、
「女性に簪を贈る意味は知っているよね、A」
やっぱり、、、、
魘夢が私の髪に差した簪は月と青ががモチーフとなっている。月光に照らされてとても綺麗だ。
「俺はAの事を守りたい。それは君の事が好きだからなんだよ、A」
今何て、、、
「君が俺の元に来てから、俺の世界は変わった。最初は鬼を怖がらない人間って珍しいと
思って興味本位でそばに置いていた。でも今は違う。今は、、、恋愛的に好きだ。
俺は恋という感情を抱いた事がないから気付くのに時間がかかった。でもふと気付けば
Aと一緒にいると幸せを感じるようになった。Aがずっとそばにいて欲しいって思った。
これって恋なんだよね、、、?」
衝撃の告白に頭が追いつかない。後嬉しさでいっぱいで、、、
「もう一回言うよ。俺は君が好きだよ、A」
え?魘夢が私の事を好き、、?恋愛的に?
顔に熱がさああっと集まる。
私が魘夢に対して抱いていた“好き”も恋愛的だと言うのは無限城に行ったあたりからはっきりしてた。
でも魘夢も同じ事を思ってたの?
それなら、、
私も魘夢に伝えなければ。この彼の思いを受け止めると。
そう口にしようとした瞬間、
【A、君が好きだよ。君のことは俺が守りたいと思う唯一の人なんだ】
【私も魘夢が好きです。それに貴方はどこかで会った気がするの】
【本当かい?俺は君みたいな人ととは、、、あれ、?】
【どうしたの?】
【俺も君とはどこかであったかもしれない】
この声は魘夢?でもこの記憶は私のじゃない、、、
「A!!」
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