第37話 ページ39
ある日の朝。外を見ると太陽が眩しく、キラキラと輝いていた。
魘夢はいるかなと、リビングに行くと魘夢は私に手を振ってきた。
「おはよう」
『おはよう、魘夢』
毎朝推しに挨拶されるのも慣れてしまった。
『今日は何をするの？また仕事？』
「今日は仕事がないんだよねぇ。だからAとどこかに出かけようかなって思って」
『私と？』
「そう。今考えてみればAはこんなに長く俺の家に滞在しているのに俺と一緒に
出かけたことがなかったよね。せっかく暇だしどうかなぁって」
『え！もちろん、一緒に出かけたい！！だって魘夢と出かけるの夢だったもん！！』
そういうと魘夢はとろけるような笑みを浮かべた。
「じゃどこにいくかはAが決めて良いよ」
『え本当に？』
「うん。俺が人力車の予約をとっておくから今日は遠くへ行っても大丈夫だよ」
まさか遠くへ行ける日が来るなんて。
昼、時々出かけるけど、出かけるといっても近くの街くらいだった。
街で、三色団子とかたこ焼きとか、ほんのたまに着物を買ったりなど
日用品で必要なものを買うためにしか出かけることがなかった。
しかも魘夢は十二鬼月だから無惨からの仕事の命令もよく入る。
だから魘夢と2人で出かけたことなんてなかった。
『私､､､海に行きたい』
「え、海に行くの？夜に行くのに？夜の海は今は夏とは言え寒いよ」
『ううん、大丈夫。泳ぐんじゃなくてただ眺めるだけだから』
私がまだ小さい頃、両親が一度だけ海に連れて行ってくれたことがあった。
でもその時海が怖くて泣きじゃくった記憶がある。
よっぽどぐずったのか、両親は二度と「海に行こう」なんて言わなかった。
今となっては私のことなんかほったらかしだしね。
「分かった。そんなに海に行きたいなら海に行こうか。俺が眺めがいい海を探しておくよ」
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