恋をすると (ページ27)

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｢あー、もう遅いっすよまじで｣

｢最速なんだけどこれ。｣

｢A先輩、お迎えですよ。｣

『、っ…え』

暫くの間黒田くんに抱きしめられながら必死に涙を堪えてたら、頭上から聞きなれた低い声。

｢おれ、こういう時どうしたらいいか分かんなくて。｣

呼んじゃいました。って息を切らして立ち尽くす檜山を指す。
俺もそんなんわかんねえよ。って呆れたように笑ってるけど、私の頭は全然追いついてない

『なんでいんの、』

｢黒田が助けてって執拗いから｣

『部活は、？』

｢あー、今日いきなりミーティングになったからもう終わった、｣

私の質問攻めに痺れを切らしたのか、
もう、そんなことより。って私に目線を合わせるように屈んだと思ったら、両手を握って私の前に突き出してくる。

『なに、』

｢とりあえず家帰って落ち着く。それか、今からいっぱい美味しいもの食べに行く。｣

『、え …？、』

｢ん、ほら、どっち。｣

左手から順に握った手をゆらゆらさせて私を見上げてくる。
滅多に見ない檜山の優しい表情と慣れない優しい声に戸惑いながらも、散々泣いてお腹が減りまくってるから迷わず右手を指した。

｢ふは、今日も食欲旺盛ですねお嬢さん｣

『うるさい』

｢ほら、行くよ。｣

『ん、』

こっち。って選んだ時にはもうすでに檜山に取られてた左手。

｢おれもごちになっちゃお〜っと｣

｢お前は自腹｣

｢なんで！！！！｣

『え、わたしのは奢ってくれんの、？』

｢そうは言ってない｣

『やった、黒田くんバカ食いしよ。』

｢目指せ檜山くん財布空っぽ｣

｢話聞けよほんと｣

またまた檜山に助けられちゃった。
人混みで離れそうになった手を、はぐれないように握り直してくれた檜山が可愛くて私も同じように握り返しておいた。

『ね、耳赤いよ』

｢知ってる。｣

『可愛いとこあんじゃん』

｢うるせえなまじで｣

黙って歩けよ。だって。
ちょっといつもの檜山に戻ってない？

檜山光成優男タイムもう終わっちゃった。

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