恋をすると (ページ15)

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夏休み最終日。
すでに終わらせている課題を見直して、
抜けがないかをチェックした後、スクールバッグに詰めていく。

今年は結構計画的に出来たなあ。と自分で自分を褒めていたら、数十件連続で通知が鳴る。見なくても相手は分かる。

がちでうるさい

春川ちょやばいよ。落ち着いてまじで。

お前が落ち着けよ

春川家来て。お願い。寿司奢るから。

めんどくさ

春川あ、お洒落してきてね。出かけるから!!

は?どういうこと?

その俺の返事を最後に、ピタッと連絡は途絶える。
言うだけ言って無視かよ。なんて腹を立たせながらもしっかり服装も整えて髪もセットして嬉しい気持ちを隠せないでいたりする。

『おっせーよ檜山光成』

「どんだけ飛ばしてきてやったと思ってんだよ」

『よし！！じゃあ、いくよ！！！！』

「は、ちょまってどこに？」

自宅の前で今か今かと待ち望んでいたかのように、
俺と目が合ってぱっと表情が明るくなったA。
でも、やっぱりここでも俺の話は無視で、
どんどん先に進んで行ってしまったけど。

『檜山と電車乗んの久々かも』

「登下校電車だけど」

『私服は3年ぶりとかだよ』

「で、なに？要件は」

呆れながらも問うと、思っていた通りの答えが返ってきた。

明日の夜、皇輝先輩とご飯行くの。なんて
今日1番の笑顔を見せるAに少し嫌悪感を持ちながらも、で俺はなんで呼ばれたの？と冷静になってまた言葉をなげかける。

『かわいい服、選んで欲しいなあって思って。』

「え、？」

『男の子の意見聞きたいから、』

檜山お洒落だしね、と付け加えるA。
荷物持ち、とでも言われるのかと思ってたから
想像の斜め上を行く返答に思わず言葉を失う。

『なんか言えよ』

「選ぶ、けど。荷物持たねえよ」

『意地でも持たせるから任せて』

どんな理由であれ男の子、として扱われたことに
自分でも気持ち悪いくらいに口角が上がる。

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