恋をすると (ページ12)

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押し付けたはずのカゴが地面に落ちるのと同時に
ゼロになる私と檜山の距離。

『ひやま』

｢なに｣

『なにじゃなくて、離れて』

｢、｣

えなんで無言なの、？？？
まじでわからない、檜山光成16歳わからない、、

一向に離そうとしない檜山の胸板を全力で押して、
やっと離れた2人の身体。

『どうした、熱だよやっぱ。無理しすぎだって今日。』

｢ちがうって、｣

『顔赤いし、』

そのまま顔を隠して、
アイスのコーナーに逃げるように走っていく檜山。
めちゃめちゃに不審者。私への行動が不審すぎる。

まあなんやかんやで全部払ってくれて、
荷物も持ってくれて、

まだなんかいつもと違う様子だけど。

『ねえ、ほんとになに？5年一緒に居て今日が1番変。』

｢1週間前も全く同じこと言ってたけどな｣

『それだけ最近変ってことだよ。』

｢なんもないって｣

『好きな子と上手くいってないの？』

｢別に、好きじゃない時から上手くいってない｣

『え、なのに好きになったの？』

｢うん、｣

『なんからしくないね、』

会話が切れたと思ったら、突然立ち止まる檜山。
不思議に思って、まだ赤く染っている檜山の頬に手の甲を合わせてみる。

『え、ちょ』

｢むかつく｣

頬に当てた手に、檜山の手が絡められる。
戸惑っていたのも束の間、

｢、｣

『、なにすんの』

一瞬の間に起きた出来事にパニックになって、
その場を早足で去る。

まだ頬に残る暖かい感覚。
ついさっきの出来事が鮮明に頭の中で再生される。

『なにあれ、』

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