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Aside
レッスン中。
ふとスマホを見てみると紫耀からメッセージが来ていた。
レッスンをサボっているなんて優太に思われたら面倒だから
こっそり返信しといた。
紫耀〈何時にレッスン終わる？〉
A〈あと1時間くらいかな〉
紫耀〈分かった。迎えにいくね。〉
どうやら迎えに来てくれるらしい。
今までの紫耀とは良きライバルであり良き仕事仲間だったから
帰る時間を教えたこともないし、迎えに来てもらったこともない。
これが恋愛関係との違い、なのかな。
あっという間にレッスンの1時間が経ち、
私は優太と一緒にビルから出た。
まだ冬真っ盛りな東京の夜はとっても寒い。
優太はさっきかいた汗を拭いてなかったせいで
凍え死にそうになってる。
いつものくだらない会話をしながら
私たちは駐車場へ向かって歩いていた。
さっきまでの少し気まずかった空気はない。
本当良かった。
これが私と優太のちょうどいい関係。
これならお互いに傷つかなくて済む。
岸「家まで送るよ、A」
A「本当！？……あ、でも」
ここで少し言葉が詰まってしまった。
A「紫耀が迎えに来てくれるって言ってたから。」
岸「…そっか……！」
そっか。
紫耀に本気で恋すれば、
こうやって優太と2人で過ごしていく時間も徐々に減っていく
ってことなのか。
それはそれで少し寂しいのかも。
でもその寂しさは紫耀で埋め尽くされるってことだよね。
平野「待たせてごめん〜！！」
そんな時、タイミング良く紫耀が車から降りて
手を振りながらこちらへ走ってきた。
A「紫耀！」
私は笑顔で紫耀に手を振りかえした。
岸「あ、じゃあ俺帰るわ！またな！！」
A「え！？ちょっと優太！」
優太は慌てて帰って行った。
せっかく紫耀が来たんだし、2人も仲良く話せばいいのに。
まぁいっか。
平野「あれ…？あれってもしかして…岸くん？」
慌てて帰っていく優太の背中を見ながら紫耀は私に聞いた。
A「うん！レッスンするって言ったら優太もついてきたから
一緒にダンスしてたよ」
平野「なるほどね！
じゃあそろそろ帰ろっか。ここ寒いし！」
A「そうだね！わざわざごめんね、迎えに来てもらって。」
平野「ううん、これが本気で好きになるってことでしょ？」
優太とは大違い。
言葉のひとつひとつから私をとても大事にしてくれていることが
伝わってくる。
あー。今の私、とっても幸せだな。
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作者名：ゆうか | 作成日時：2022年9月7日 21時
