episode４★｡.* ページ6
廣瀬side
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廣｢えっ、と……｣
私は彼を知っていた。
隣のクラスの男の子。うちの学年では割と有名な。
廣｢霧野くん…｣
霧｢良かった、俺の事知ってるんだ。｣
霧野蘭丸くん。
その整った容姿が、女子の人気を集めている。
霧｢ずっと探してたんだ。廣瀬のこと。｣
廣｢私を？なんで……｣
霧｢これ。｣
霧野くんは、持っていたリュックの中から1冊のスケッチブックを取り出した。
廣｢あ、それ……｣
霧｢君のだろ？この間ぶつかった時落としてったんだ。呼び止めようとしたんだけど、急いでたみたいだったから。｣
廣｢霧野くんだったんだ…ありがとう。｣
私は彼からスケッチブックを受け取ると、すぐに開いてパラパラとめくった。
良かった。当たり前だけど、中は何も変わっていない。
残りページも少なかった。新しいのは持ってきて正解だった。
霧｢絵、うまいんだな。｣
霧野くんは、笑ってそう言った。
廣｢うまいなんて、初めて言われた。｣
それもそうだ。だって…
霧｢もしかして、その絵誰にも見せたことないのか？｣
廣｢え…うん。｣
そう、私が絵を描いていることは、誰も知らない。
霧｢もったいないぞ、せっかく凄い絵なのに。｣
廣｢わざわざ見せるものでもないよ…っていうか、霧野くんさっき部活行こうとしてたんじゃないの？｣
霧｢あっ、そうだった！｣
霧野くんは少しだけ焦りながら、近くの椅子に置いた荷物を持った。
それから振り向いて、私に言った。
霧｢なぁ廣瀬。｣
廣｢？｣
霧｢もし良かったらさ、その絵、また俺に見せてくれよ。｣
ニヒッと笑った彼の笑顔が眩しくて、私は自然と頷いていた。
……あれ。
霧野くん、なんで私の名前知ってたんだろう…。
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2019年6月22日 15時
