episode42★｡.* ページ44
帆鳥side
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帆｢はい。｣
霧｢？｣
霧野くんの前に、ひと皿のデザートを差し出す。
帆｢スフレパンケーキ。うちの店の新メニューになるんだけど、毒味役だと思って食べてよ。｣
霧｢毒味って…ありがとうございます、いただきます。｣
そう言うと霧野くんは、パクパクと美味しそうにパンケーキを食べ始めた。
ただその顔にはまだ少し曇りが見えて、伏せ目のまま手を進めていた。
帆｢君さ、｣
カウンターに肘を置き、頬杖をつく。
帆｢そこまで鈍感じゃないでしょ。｣
霧｢！｣
あからさまな反応だった。彼のそんな姿は初めて見た。
帆｢気付いてるんじゃない？本当はさ。｣
霧｢……｣
彼は、持っていたフォークを置いてから言った。
霧｢…2年前、同じようなことがありました。｣
帆｢2年前？｣
霧｢神童の彼女が俺達の同級生にいじめられてて。神童には絶対に言わないつもりだったらしいんです。でも結局言うことになって、その時神童…｢彼女とは極力関わらないようにする｣って、言ったんです。｣
いじめ、という言葉に少しだけ驚く。
ヒロインちゃんに何があったのか知りたかっただけだったけど、意外と無視できない内容らしい。
霧｢その時は神童が許せなかったけど……今ならあの時のあいつの気持ち、すごいよく分かります。｣
霧野くんなりに、色々考えたのだろう。
彼と神童くんの違いといえば、好意を抱いていないところ。
好きならば守るべきだ。しかし、好きではないのならば離れることも出来る。
極力手を貸したいところだが、ヒロインちゃんが言わないために何も出来ないのだろう。
帆｢……俺に言えることは、特にないかな。｣
霧｢……｣
帆｢俺が口を出せる問題じゃない。ただ、ひとつあるとしたら……｣
俺は霧野くんの目をじっと見つめた。
帆｢今、彼女に1番近いのは間違いなく君だよ。｣
霧｢…っ……｣
気付いているのか。いないのか。
……気付きたくないのか。
彼女は君が好きなんだと。
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2019年6月22日 15時
