episode32★｡.* ページ34
霧野side
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霧｢神童、あれ。｣
校門の前に、他校の女子高生が見えた。
校内を覗くように辺りを見渡している。
神｢あ。｣
神童が手を振ると、彼女もこちらに気付いて手を振った。
紅｢神童先輩に霧野先輩、お疲れ様です！｣
霧｢おう。｣
神｢お疲れ。帰ろうか。｣
名前が来ることは、神童から聞いていた。
帰りは3人になると思うが、それでもいいかと。
正直嫌だった。しかし、それを全く気にしないのが神童と名前だ。
紅｢霧野先輩、前から気になってたんですけど…｣
霧｢？｣
紅｢この間喫茶店で会った人、彼女ですか！？｣
霧｢はぁ…？｣
最近よく聞くセリフだ。なんなんだ、みんなして彼女彼女って。
霧｢えっと、喫茶店？｣
神｢廣瀬のことだろ。｣
霧｢あぁ、廣瀬。友達だよ、彼女じゃない。｣
紅｢えぇ、ほんとにただの友達ですか？せめて好きな人とか！｣
霧｢ないない。そういうの、しばらくはいらない。｣
紅｢なんでですか？先輩、モテるのに！｣
霧｢そんなことないって。｣
紅｢嘘です！｣
霧｢嘘じゃねえよ。｣
紅｢でも！｣
神｢名前、もうやめてやれ。｣
しまった。
途端にそう思った。
神童に気を使わせてしまった。
紅｢あ…すみません、私…｣
霧｢い、いや。こっちこそごめん。｣
名前は、申し訳なさそうに下を向いた。
やってしまった。こんなに空気を悪くするつもりはなかったのに。
何とか話題を変えようと、顔を上げ名前の方を見た。
霧｢……！｣
名前は少しだけ見に涙を浮かべながら、神童を顔を横目で見ていた。
チクッ────────。
霧(…バカ、そんなの最初から知ってただろ。)
そんなことを自分に言い聞かせる。
……そう、分かっていた。
分かり果てたことだった。
こんな時でも彼女が考えているのは、“俺に悪い事をした”ことではなく“俺に悪い事をしたせいで神童に嫌われるかもしれない”ことだなんて。
……分かってた、じゃないか。
廣｢霧野くんっ！｣
突然聞こえた廣瀬の声に振り向く。
霧｢えっ…！？｣
廣瀬は俺の腕を掴み、思い切り走り出した。
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2019年6月22日 15時
