君と描きたい未来がある (ページ22)

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episode20★｡.* ページ22

廣瀬side

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私は、ごく普通の夫婦の2人目の子供として産まれた。

母、父、兄、私。特に裕福な家庭でもないが、4人で助け合いながら過ごす日々は、それなりに楽しかった。

そんなある日、父が仕事で大成功をし大きな会社の部長を務めるようになった。

より充実した日々を過ごせるようになって、家族全員が喜んでいた。

……ところがその出来事を機に、父は自分の存在に過剰な自信を持ち始めた。

確かそれは、私が小学2年生、兄が小学6年生のこと。

家でも会社でも自分の思い通りにならないと気が済まない、そんな自己中な性格へと一変し、しまいには家族に暴力を振るうようになった。

耐えられなくなった母は、ついに離婚のための裁判を起こした。

結果ほぼ責任は父が負うことになり、父は……

全てを失った。

母はとても喜んでいた。自分が父を1度は運命の人と思い込んだのも忘れて。

兄は父方の祖父母に引き取られた。

何があったのかは知らないが、兄が望んだことらしい。

誰もが｢良かった｣｢もう間違えない｣とそんなことを思う中、私だけが、父から1つのことを学んでしまった。

“何も望まなければ、傷つくことは無い”。

大切な人をつくるから。

叶わない夢を見るから。

居場所があるから。

望んでしまうから。

だから失う。だから全て無くなる。

だから私は……何も望まない。

それが、私が傷つかない道なんだ。